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サンワカンパニーは誰に価値を届けるのか

STP分析とは

STP分析とは、 セグメンテーション、ターゲット、ポジショニングの頭文字をとったものです。どんな顧客をターゲットにしてどのポジションをとれば優位になるのかを考える上で有効なフレームワークです。

セグメンテーション

セグメンテーションとは市場の細分化です。
市場をどんな切り口でみるかということです。

今回も前回に引き続き、キッチン等の住宅設備を取り扱うサンワカンパニーさんを具体例として出しながらマーケティングトレースしていきたいと思います。

まずはセグメンテーションの4つの要素を抑えます。

** 1.地理的変数**
国・地域・都市の規模、経済発展・進展度、人口、気候、文化・生活習慣、宗教、政策などの要素
2.人口動態変数
年齢、性別、職業、所得、学歴、家族構成などの要素
3.心理的変数
価値観、趣向、ライフスタイル、心理的特徴に強く結びつく要素
4.行動変数
曜日・時間、購買の状況・経路・頻度などの消費者が実際に購入した要素

参考:マーケティング初心者はまずは「STP分析」を押さえておこう!

サンワカンパニーは住宅設備と建築資材を取り扱っている企業です。
「どんな人に買ってもらいたいか」を想像しながらセグメントしていきます。

地理的変数:日本・海外も視野(2018年3月に中国進出)

人口統計学基準:住宅第一次取得者層と呼ばれる30代・住み替え需要、リフォーム需要がある50代~60代。

心理的変数:ミニマルを好む。海外インテリアが好き等、デザインの感性が高い。

行動変数: ユーザー自らが材料調達を行う「施主支給」

ターゲティング

先程細分化して見えてきた市場から、より狙うべき顧客を具体的にしていくのがターゲティング。
その際に使えるのが5つの評価基準で5Rと呼ばれます。

ターゲット評価する5つのR
**
Realistic Scale  規模は十分? 
狙うにたり得る(利益の出る)だけのボリュームはあるか?
**
Rate of Growth  
成長性は? 
すぐに刈り尽くしてしまう恐れはないか? 今後も成長するか?
**
Rank & Ripple Effect 優先順位と波及効果は? 
そのカタマリを獲得すると、他のカタマリが連続して取れる美味しさはあるか? そういう美味しいカタマリなら、優先順位を高める必要はないか?
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Reach  
到達可能か? 
メッセージを発信して反応してくれるか? アクションに応えてくれるか?
**
Rival **競合状況は? 
そのカタマリを狙う競合は多くないか? 競合の中で選ばれる要素はあるか?

参考:売れる販促戦略には欠かせない!STP分析とは?

・日本の住宅設備業界は約10兆円規模の為、十分狙うべき価値はある。
・国内新築住宅市場は減少傾向。
・国内中古住宅市場は増加傾向につき、リフォーム需要は増加傾向。
・デザイン志向が高いユーザーは比較的インスタグラム等のSNSとも相性が良いため、口コミでの波及が期待できる。
・ ECサイトを中心に情報発信できる。
・関西限定CMでより幅広い層にリーチできる。
・ミラノ・サローネ出展により、住宅購入の潜在層にも認知させられる。
・競合は多いが、デザインと価格のバランスがとれている点は強み

これらの結果から、ターゲットは、機能だけでなく、デザインも重視する住宅購入及びリフォーム希望者です。美意識が高く、暮らしにスタイルを求める人と考えました。

ポジショニング

大事な視点は2つ。
一つは明確で分かりやすいかどうか。
もう一つは強みが活かせ、優位性が保てるかどうかです。

サンワカンパニーのIRを見ると、ポジショニングについて記載があります。

こちらをみると横軸が取扱カテゴリー。縦軸が事業規模となっています。
取扱カテゴリーが多いということは、空間のトータルコーディネートが可能ということ。ちなみに私もキッチン、お風呂のタイル、バスタブはサンワカンパニーさんのものを使っており、そういえば自分も、、、とこれを見て実感しました。また、この図でわかることはネット系企業の中では取扱カテゴリーがナンバーワンということです。住宅設備メーカーのほとんどは代理店網をもち、なかなかECにシフトしづらい中で、ここについては強い優位性をもっています。

もう一つの図は、高い成長率。
成熟市場とよんでもいい業界において、「高い成長率」でポジションをとっています。

まとめ

ミニマルな世界観をもつ多様な商品群、そして製造プロセスの簡素化によるワンプライス、代理店に頼らないECを中心とした独自の販売網をもつサンワカンパニー。国内10兆円規模の住宅設備業界においては競合は少なくなく、成熟市場と呼べますが、ネット系企業では取扱品目が一番多く、差別化されています。ポジショニングと強みを明確にIRに記載しているのが印象的でした。

次回は今までの情報をもとに4P分析に挑戦したいと思います。

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