芸裏花横での桜プロ観劇

 初日の松プロを1階5列という神席で観た後に午後から桜プロを3等席で観ていた私。
(桜プロも1等席で観たい!滝夜叉姫様!!)
ということで、チケットweb松竹で1等席を探す。

 口上で真横を壱太郎さんが通る席が良いなっ!
 …
 チケット確保ヨシ!

迎えた当日。席についてびっくり。

芸裏の花横じゃん!?!?!?

※チケットを買う際は、よく座席表を確認してから買いましょう。


初めての芸裏

ハイ、という訳でチケットweb松竹での座席表を、思いっきり勘違いして買った席が人生初めての芸裏となりました。私、てっきりもう一つ上手ブロックの通路側だと思い込んでいたので、まさか芸裏に座れるなんて!という驚きがありました。

芸裏に座るのは初めてですから、ちゃんと贔屓をはじめとする役者さんたちのお顔が見えるかな、見えづらいとかないかな、とか一瞬不安に思いましたが、なんと言っても花道や舞台との近さにびっくり!!開演前から既にドキドキワクワクでした。

そして、今回観に行った桜プロでの演目は、『女殺油地獄』、そして松プロ桜プロ共通演目『忍夜恋曲者』。

油地獄は2022年の顔見世興行で初めて観劇しました。
初めのうちは、壱太郎さんの小菊さん可愛すぎるーー!!!と心のうちで阿鼻叫喚していたものが、いつの間にやら凄惨な殺しの場面に強い衝撃を受け、1日で顔見世の演目を全制覇したものの日曜日の夜に1人きりで複雑な気持ちを抱えた演目でした。

そんな油地獄を三月花形歌舞伎で観れることは、嬉しくもあり、観劇後の気持ちの整理がつくかどうかの不安もありましたが、始まってみると、観に行くたびに深まる皆様の演技に、どんどん惹き込まれていきました。

そんな素晴らしい作品を、花横で観れる、そしてそれも芸裏!ということで、チケットを買った自分にグッジョブしつつ席に着くと…

使用後に撮影したため折り目が付いています。

………え??

マジで???

使わせていただいて良いんですか??ていうか油飛んでくるんですか???

この時点で既に開演10分前。上演中にビニールがガサガサしてしまって周りの人に迷惑をかけないか、既に不安になりつつも使わせていただきました。

口上

口上で入ってこられた中村壱太郎さん。芸裏ということもあり、少し離れて壱太郎さんを観れたことで、若干ながら平静を保つことが出来ながら、壱太郎さんが客席でお話しされているのを心臓バクバクで観ていた時に、ふっと気づいてしまいました。

お歯黒ーーーーー!!!!!!?!?!!!!♡♡♡

3等席でもオペラグラスがあれば、コンタクトレンズ使用していても視力壊滅的な私でもわかるのですが、1等席って…1等席って、、お歯黒もこんなにハッキリ見えるんだ…お化粧の細かいところまでオペラグラスなしでこんなに見えるんだ…ご贔屓様可愛すぎる…

1等席の前方席は、いわば宝塚でのSS席、あるいはS席のタケノコ席。なるほどハッキリシッカリ、役者さんのお顔の見たいところが見えて、最早贔屓云々以前にテンションが上がりました。

そして、なんと言っても、花道の役者さんとの近さ!

ズームをしてもご贔屓様が綺麗に映るの助かる
荒ぶるみなみーなちゃん。落ち着きなさいと嗜める壱太郎さん。
こんなにお着物の模様がしっかり見えるのも嬉しいポイント。

×1.5くらいで写真撮らせていただいたのですが、ズームをしてもお顔がわかる距離って、こんなに幸せなんですね…

役者さんのお衣装や髪飾り、小道具などをじっくり見るのが好きなのに、いざ観劇となると顔ばっかり見てる私にとってはまさに極上の席。ご贔屓様の美しいお姿を間近で見れるだけでなく、お衣装の細部が見れるなんて…幸せすぎです…

また、ご贔屓様や、みなみーなちゃん、そしてこの後の演目で多くの方々が、花道を通られた際に、役者さんに降り注ぐスポットライトを私も浴びさせていただけて、その光の中に、少し逆光になりながら輝いている役者さん達の姿を見て、という光景は、走馬灯で思い出したい景色になりました。

女殺油地獄

始まってすぐ感動したのが、本来聞こえなくても良い、役者さんどうしのアドリブのセリフがクリアに聞こえるところ。例えば、野崎詣りにやってきたお吉さんとおみつちゃんの母娘が花道を渡る時にしている会話。なんだかもう、この親子の会話が愛おしすぎて、何を話していたかの記憶は全くないですが本当に幸せすぎました…

そして、芸裏の何がこの演目で最高って、与兵衛の色んな表情が楽しめるところ!
野崎詣りの折に、
「なーんじゃ、ダバかぁ。びっくりしたぁ」という与兵衛のセリフがありますが、馬の嗎に驚いて羽織の下で縮こまってる与兵衛の情けない姿や、「びっくりしたぁ」の綺麗すぎるお顔かつ可愛らしさ、町人たちに揶揄われて恥ずかしくなって逃げてしまうところなど、野崎詣りの場面だけで与兵衛の愛嬌が、本当に目と鼻の先で繰り広げられていて、惚れそうになりました…

そしてやっぱり、この演目のメインとなる、お吉さんを惨殺するシーン。お吉さんが殺されて、与兵衛がハッと我に帰り、お金を持ち出して花道に滑り込んでくるところ。

あまりの与兵衛の表情に、これがお芝居で、舞台と客席の関係と分かっていても、私まで殺されてしまうのではないかという恐怖感を抱いたあの与兵衛の目。油に塗れ、油が着物から滴る中、キッと据わっていて、殺意とは違うまた何か、サイコパスな雰囲気で、舞台に近いからこそ、この演目ならではのリアルが目の前にありました。油地獄の終演後、幕間が始まってしばらくはこの恐怖感で少し震えが出ました。良い意味で恐怖を味わえました。
そしてやはり、油はいっぱい飛んできました。もはや飛んできた油を全部集めて持ち帰って保管して家宝にしたかった←

忍夜恋曲者

私ですね、松プロも桜プロも本当にこの「将門」が大好きすぎて、これのために追いチケしたと言っても過言ではないくらい将門の姫様が大好きで大好きで仕方ないんです。というのも、昨年の「新・陰陽師」を遠征できず「滝夜叉姫様ぁぁぁぁぁ😭😭😭」となっていたため、1年越しに壱太郎さんの姫様に相見えることができて本当に嬉しすぎるんですよ…しかも可愛いし美しいし壱太郎さんの持ち味本量最大発揮だし存在が正義だし。

桜プロでは、最後滝夜叉姫様が高笑いするシーンがあり、この位置からだとたぶん姫様の表情は見えないだろうなぁとその点は諦めて臨んだのですが…ちょびっと見えました、最高でした、もう色々オタクのドツボに刺さるポイントだらけで尊かったです。壱太郎さん、誠にありがとうございました。

先日の、京都蔦屋さんでの、歌舞伎絵本の発売イベントで、水気をやっていらっしゃるのも壱太郎さんだと仰っており、このイベントの後に3等席から水気を見たら、ちょびっと姫様の髪飾りが見えたのです。
それはさておき、芸裏花道。目の前にセリがあり、ああこれ絶対良い意味で心臓に悪いやつ…って思っていたら、水気が想像の何百倍も近くで現れて、
「この下に壱太郎さんがいらっしゃるのよね!?水気!!😇😇😇😇😇」となり、心臓バックバク。
さらに、姫様のセリ上がり前にセリの上に置かれる姫様の傘が出てきて、上からだとわからない傘の形(開き具合?)に心臓鷲掴み。そしてとうとうセリ上がってきた姫様の美しい横顔と可愛らしすぎるガマッチ、そして目の前にハッキリ見える姫様の重厚な衣装に施された細かい刺繍、これら全てに、色んな意味でオタクの幸せポイント総なめでした。

最初の花道にいる場面は全てが好きなポイントですが、芸裏だからこその感動ポイントとしては
・ガマッチを送り出すところの姫様の妖術の伏目が美しすぎる
・薄く透けた、あの字が書いてある巻物みたいなやつ(誰か名前教えて…)を滝夜叉姫様が畳むその手の動きが細かく見えるし、なんと言っても、それを回収する黒子の方の華麗なる腕捌きが見れる!
・傘をさして佇むお姿を後ろからずーーーーーーーっっっっと堪能できる…♡♡♡
・お香の匂いが開演前から感じられる

本舞台に姫様が移動してからも、後見の方々との息のあった連携プレイや姫様と光圀の舞の美しさを堪能でき、立廻りの迫力に圧倒されっぱなし。

この回の時に思ったんですけど、私、心からけんかずが好きです。もちろん、2月の曽根崎心中のような、愛し合う2人が儚く散るようなラブロマンスをやっている2人も大好きだけど、けんかずの今までの、友情というか、それ以上の絆があるからこその、立廻りの2人の息のあった掛け合いが、2人とも本当にカッコよくて、ギラギラ輝いていて。
お互いに全てをぶつけ合っているような、そんな2人の関係性、そして2人のお芝居/舞が心から大好きです!!!




そして、これは勘違いでも良いけど1人きりで抱えきれないんでここでも吐き出させてください…

姫様、いや壱太郎さんと目が合った😭😭😭😭😭

私本当に姫様好きすぎていつもずっとオペラグラスで追いかけているんですが、芸裏で舞台と近いから、オペラグラス使うと逆に見えづらくて、ほとんどオペラグラス使わずに見ていたんです。
傾城如月がなぜ光圀の元を訪れたか、の舞のパートの後の、合戦の話する光圀の舞の場面での姫様の表情が徐々に変わっていくのが好きで、この時も姫様のことガン見していたら、
姫様、最初動揺を隠すために下手側に身体ごと向けられるのですけど、

なんか、勘違いでも良いんですけど

目が合いました!?

目が…合ってる??!?

こういう時にジッと見返せないタイプの不審者ムーブぶちかますオタクなので、目線を逸らしては姫様に戻し、また目が合ったと感じたら姫様から視線を逸らしすぐまた姫様に視線を戻し、という圧倒的不審者をかましてしまい…………

壱太郎さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです………

勘違いでも、目が合ったと感じたこの時間は幸せすぎたのですが、ずっと挙動不審な視線をぶちかましてしまい、姫様、いや、壱太郎さんに申し訳なく、でもあのまま視線が合った(と感じた状態の)まま姫様をガン見できず………

あの、本当に姫様が好きだということだけ、お伝えさせていただきます。


そして、芸裏ならではの魅力!
立廻り〜十二単の滝夜叉姫様での感動ポイントは

・ガマッチの瞼の動きが見えて感動!しかもちゃんと、上瞼じゃなくて下瞼が動いてる🥹可愛い
・蝋燭の暖かさを近くで感じられる
・傾城のお衣装よりもさらに布量多い十二単と袴の迫力を間近で感じられる!!!
・姫様の高笑いのところで、姫様の髪飾りがシャラシャラと揺れているのがハッキリわかるし心なしか音も聞こえてくる!!!!!!!!
・姫様の扇の紐が目の前に………😇
・姫様の一挙一動の迫力が凄まじい

十二単を間近で見る機会なんか滅多にないし、そんな機会に恵まれたことなんてないので、すごく感動でしたし、扇の絵も細かく見えるし、姫様の髪飾りの緻密さと荘厳さに圧倒されっぱなしですし。そしてやっぱり闘う姫君の高笑いと優美さと威厳を感じられる一挙一動が最高でした……

姫様大好きすぎる……………

その他感想

お衣装の細部が見れたり衣擦れの音が間近で聞こえたりっていう幸せだけじゃなく、舞台を構成する色んな要素をすぐ近くで感じられたのも大きな収穫でした。

例えば、定式幕を開ける時、真正面からでは絶対に見えない、常識幕を開ける方の動きが見える。幕が広がらないように手早く幕を紐で締めているのが薄っすら見えて、開幕早々感動しっぱなしでした。
また、場面転換や幕間の舞台装置の転換の際、幕を持ち上げたり幕の内で人が動いたりすることで中の様子が少し見えるのも、こうやって舞台が創られているんだ、と感じられて、これも感動でした。

また、油地獄の時に油が飛んで来るのも、その世界観という感じで幸せだったのですが、幕間にスタッフの皆様が間近で油を拭き取っているのを見ることができ、舞台は役者さんや楽器だけでは成り立っていないのだなと改めて感じられました。

これだけ最高だったにもかかわらず、残念でならないことは、ケータイの着信音、ケータイのシャッター音(まさか、と思うでしょ?油地獄の最初の方でシャッター音が同じ列から聞こえたからサクッと蛍さんに報告しました。)、そして上演中の会話。

着信音、どの劇場でもどのタイミングでも、上演地に鳴ったら
「○す」
って気持ちになるんですが、舞台に近いからこそ、普段以上に役者さんに申し訳なくて、
「ぶっ○す」
にランクアップしました。

また上演中の会話も、舞台の近さは関係なく鬱陶しいものですが、舞台が近いからこそ役者さんにも聴こえる気がしますしこちらも集中力を削がれるので殺意が湧きました。

マナーを守ってほしい人にこそ、届かないこの嘆き…劇場スタッフさんに報告しても、よほどの事や確たる証拠がなければスタッフさんも動けないため、ケータイの電源を切ってくださいと切実に思いました。

悲しい話で締めくくりたくないので、最後に別の話題を。
桜プロの口上が壱太郎さんの時、わたしが知る限り必ずみなみーなちゃんが写真撮影タイムに荒ぶっていて可愛いですし、それを「ブレるから、落ち着きなさい」と嗜めてる壱太郎さんが可愛くて、この2人であと20分くらい舞台上に居てほしいと思っちゃいました。松プロではどうなんでしょうか?
尾上右近さんや中村隼人さんが口上の時は、みなみーなちゃんが荒ぶってるのは観ていないので、気になります。

さて、残すは明日の千秋楽2公演。どちらも楽しみで仕方ありません。
初年度から見させていただいている三月花形歌舞伎。これがこれから先、何十年何百年と京都南座の春の風物詩として受け継がれていってほしいと、あんまり遠征できないオタクとしては切実に思います。

また来年も、三月花形歌舞伎に出会えますように。

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