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『Blood Music.1985』

もうとうに慣れ飽きて ついに飽き慣れて 
湿り冷え切った 野蛮でうつろな
ディストピア この現実は
美しく 激しく 一瞬で退屈を吹き飛ばす
『Blood Music.1985』作詞 小林祐介

 はい、こんにちは☀️
今日は音楽レビューです。今日は、”THE NOVEMBERS”から『Blood Music.1985』をご紹介したいと思います。

 ”THE NOVEMBERS”以降ノベンバに関しては、過去にも紹介させていただきました。(上のリンクだよ、試しに読んでみてね。)前回は彼らの音楽の静謐さを強調した“静”の曲でしたが、今回は“動”の要素が強い曲です。初めての方はまずは聴いてみましょう!

 うん、とてつもなくノイジーで破壊的ですね。気になるあの子とのドライブ中にぜひとも爆音で流してほしいです。狭い車内で暴風雨のような轟音に飲み込まれる2人、吊り橋効果でさらに仲が深まっちゃうかも。

 冗談はさておき、この曲のサウンドは、聴いてわかる通り、粒の粗い砂嵐のようなノイズが特徴的です。歌番組とかではなかなかお目にかかれないようなあらびきミックスですね。この手の音楽にあまり慣れてない人は、最初うわぁ😨となりますが、すぐに病みつきになるのでご心配なく。この曲が他の実験的なポストロック系と一線を画すのは、歌としてはかなりキャッチーなところです。Aメロ⇨Bメロ⇨サビという邦楽の基本にしっかり則しています。

 こういう激しい系サウンドの曲って大抵、ボーカル部分もデスボイスだったりスクリーム系だったりと、おっかなくて取っ付きづらいのですが、この曲、というかノベンバの曲はキャッチーな歌メロを持っているので、案外入り口が広いのです。音楽におけるゲートウェイド○ッグみたいなモノです。

 そして魅力的なのは、この曲の持つ世界観です。SF好きなあなたなら、タイトルをみてピンと来たかと思いますが、この曲名は1980年代のグレッグによるSF小説『ブラッド・ミュージック』をオマージュしていると思われます。『ブラッド・ミュージック』とは、クラークの『幼年期の終わり』と並び立つ世界的SF作品で、エヴァンゲリオンなどの日本の有名作品にも大きな影響を与えています。私はまだ読んだことないんですが、『幼年期の終わり』にはハマっていた時期があったので、いつか挑戦したいと思ってます。どちらも視点が人類という”種の規模”で進む物語なので、天才の描くスケールの大きな、超越的な世界を堪能できそうです。

 こういう古典SFって、案外いま読んでも魅力的ですよね。さすがにこれらを下敷きにしたアニメや漫画に子どもの頃から触れている世代なので、設定などの新鮮味は、なかなか感じられないのですが、自分の好きな作品のルーツを掘るという行為は、知的好奇心が唆られる刺激たっぷりの冒険なのです。

 ノベンバの楽曲には、SFの世界観をもつ作品が他にも沢山あります。往年のSFの名作たちが、作詞作曲担当の小林祐介が持つ世界観に大きな影響を与えているのでしょう。せっかくなので2曲紹介してみます。

『BAD DREAM』

 まずはこれ、近年の彼らの代表作とも言える、めちゃめちゃかっこいいシングル『BAD DREAM』です。この曲の世界観はSF映画の金字塔ブレードランナー』をモチーフにしていると思われます。ダークで煌びやかなmvと相まって、ノベンバの中でも1、2を争う位キャッチーな1曲です。ラルクとかが好きなら間違いなくハマるでしょう。

『Sky Crawlers』


 そしてこっちは森博嗣の小説『スカイ・クロラ』です。アニメ映画にもなった作品ですね。この曲は彼らがレーベルを独立し、初めてリリースしたアルバム『zeitgeist』からの1曲です。これまでバンドサウンドにこだわっていた彼らが、初めて打ち込みの音を取り入れた曲だった気がします。7thアルバム以降のノベンバ覚醒の、ある意味原点と言える曲かも知れません。静謐な空気感からか、あまり目立たない曲ですが、ベスト盤にも収録されていることから、メンバーにとってもかなり思い入れの強い1曲であることが伺えます。

 と言うわけで今日は”THE NOVEMBERS”から『Blood Music.1985』、そしてSFの世界観つながりで『BAD DREAM』に『Sky Crawlers』の合計3曲をご紹介いたしました。このバンドには私の個人的に好きな曲がたくさんあるのでこれからもちょくちょくレビューすると思います。ではまた👋

おしまい


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