見出し画像

上手に香りを纏いたい

纏い方にはその人となりが現れてしまう。香りを使いこなし、ほのかに香りを纏えるような人からは知性を感じる。香水が心から好きだという愛香家さんほど纏い方には気を使っているようだった。そんな方々に憧れ、研究を重ねる日々を過ごしてきた。

どんなに本を読んでも、サイトを見漁っても、正しい纏い方というガイドラインを作るのは困難に感じた。纏う適量は香水によって変わってくる上に、嗅覚の強弱も個人差がある。それが香りを纏う難しさを感じさせる所以でもある。

そこでせめて香りを纏う時の注意点についてふれておきたい。失敗を重ねた自分への戒めのために。この記事ではそのポイントを「TPOをわきまえる」「纏う量をわきまえる」「纏う場所をわきまえる」の3つに絞ってまとめていく。


(1)TPOをわきまえる


社会通念上、基本的に香りを纏ってはいけないシーンというものがあるという。まずは会食の席。特に和食など繊細な風味を愉しむ席で香ってくる香水の香りは周りからしても大変迷惑だ。病院などでも香りを纏うことは避けるべき。あとは冠婚葬祭。

そして「人が密閉されるような空間」も注意したい。電車などの公共機関、コンサートホールや試験会場などに身を置く時に香りは纏わない。閉鎖された空間で不快な香りを嗅がされ続けることは拷問にも近い。どんなに良い香りでも別のある人にとっては不快な香りであることがある。

また最近では香り効果が高い柔軟剤等の登場もあり、化学物質過敏症を発症する方々も多いと聞く。そういった方々への配慮も忘れないでおきたい。


(2)纏う量をわきまえる

まずは使用する香水の種類を確認する。香水には「賦香率(ふこうりつ)」による分類がある。この「賦香率」とは、香水の主成分である香料・アルコール・蒸留水における香料の割合のことをいう。賦香率が高いと香りの持続時間が長く、低いと短くなる。

持続時間や特徴はあくまで目安であり、この分類が法律で定まっているわけではない。メーカーによって種類の表現や賦香率のパーセンテージが変わってくる上にガイドラインも殆ど無いため、纏う人本人の力量が問われる。

纏う香水の特徴(種類、香調、持続時間、香りの強さ・重さ)を捉えることが肝心だ。

●パルファン /Parfum / Extrait
賦香率…約15~30%
持続時間…約5~7時間
特徴・用途…最も豪華で深みがあり、持続時聞が長いのが特徴。

●オードパルファン /Eau de Parfum /Esprit de Parfums
賦香率…約8~15%
持続時間…約5時間前後
特徴・用途…パルファンとオードトワレの中間。

●オードトワレ /Eau de Toilette
賦香率…約5~8%
持続時間…約3~4時間
特徴・用途…カジュアルな感覚で、最もポピュラーなタイプ。

●オーデコロン /Eau de Cologne
賦香率…約3~5%
持続時間…約1~2時間
特徴・用途…オード卜ワレよりも更にカジュアルだが、最近では少なくなってきているタイプ。

詳しくは伊勢丹FRAGRANCEのページへ

「香水のつけすぎ」は「TPOをハズしてしまう」よりも痛い。強すぎる香りは周りに不快感を与えるだけでなく、人によっては身体の不調や頭痛の引き金になることもある。"周囲に香りがはっきりわかる"という状態はほとんどの場合”つけすぎ”である。本人以上にまわりには臭っているものだ。香りで周りに迷惑をかけるくらいなら、香水を纏わないほうがましだと思う。


(3)纏う場所をわきまえる


香水を肌に直接つける時には紫外線があたらない場所に纏う。衣服の表面や目立つ場所にスプレーするのはシミの原因になる可能性があるため避け、革製品やシルクには絶対につけてはいけない。


香りは下から上へあがってくるという特性を考えて纏う。顔や首のまわりなどの鼻近くや、鼻の真下にあたる身体の中心部にスプレーすると強く香ってくるので要注意。具体的な纏う場所は『伊勢丹FRAGRANCE』を参照。香水の種類別にざっくりだが纏い方をまとめる。


●パルファン
パルファンは「点」でつける。「点」はお肌の1点に触れるように。一般にパルファンは液体なので一滴、二滴を肌に落とすイメージで。手首、ひじの内側、首すじ、髪の生え際、デコルテのくぼみなど、体温が高い部位や脈打つところに直接纏うことで、動いた際、さりげなく香りが漂う。

●オードパルファン とオードトワレ
オードパルファム・オードトワレは「線」を細くのばすイメージで。肌に直接まとうほか、洋服の裏地や髪の毛等に、軽くスプレーするなど。

●オーデコロン
オーデコロンは「面」でつける。ある程度の部位にまとまってつけるイメージで。とはいえ好きな方法で纏ってオーケー。スプレータイプのアトマイザーなら、10センチくらい離してプッシュ。空間にプッシュして花火のように降り注ぐ粒子の下に入る方法もある。この方式だと、優しい香り立ちになるが持続時間が短い。空間プッシュ方式には、反対する香水の専門家(とくに海外の香水関係者)も多いらしい。
オーデコロンとオーフレッシュは、カジュアルでライトな香りを好む人たちにとって理想的。リフレッシュ効果が高く、一日中、いつでもふんだんにつけることができる。特に、毎朝の身支度の時にスプレーすると、シャワーを浴びたかのような爽やかさが感じられる。

●ボディライン
ボディローションやシャワージェルは、お気に入りの香りをさらに感じたり、長持ちさせたりしたい時に、貴重な補強アイテムになる。


よくある擦る付け方は香り分子が壊れてしまうので間違いだという。個人的な香りの愉しみ方はまた別の機会に☺❤


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?