星型のクッキー

僕は星型のクッキー。

ルーシーおばさんが作ってくれたんだ。

でも、僕の体はとても歪でいて、ちょっと欠けてる。

隣に並んでいるハート型のクッキーのように

美しくって、見てるだけで幸せな気分になれる

型が良かった。

それにちょっと焦げていて

見た目も美味しそうではないし

このままホームパーティに並べられても

きっと僕だけ残るんだ、、、。

そんなことをぼやっと考えていた。

”世の中は平等じゃない”

生まれつき運命はある程度決まってる

って心のどっかで思ってた。

ホームパーティ当日のことだった

レイチェルという6歳の女の子が

ぼくを真上から見下ろしていた

選んで欲しい

見た目はあんまり良くないけど

とても香ばしいし、バニラの優しい香り

バターの柔らかな味がするんだよ。

聞こえないだろうけど

できる限りのアピールをしたんだ。

でもその時、

レイチェルが片手に持っていた

オレンジジュースをテーブルに零してしまったんだ。

それが僕の体にもかかった。

僕の体はふにゃふにゃで

べとべとのクッキー

いやクッキーとも呼べない見た目になったんだ。

こんなことってあるかい。

少しでも幸せになりたいと願うのに

気づいたらもっと 状況が悪化して

むしろ最初の方が良かったなんて、、、。

きっと人生はそんなものだ。

期待どうりにならない。

ルーシーおばさんが

テーブルにこぼしてしまった

オレンジジュースを拭き終わったあとに

僕のことに気が付いた

そして、こう言ってくれたんだ

もう一回焼き直すからね と

そう僕はもう一度

ルーシーおばさんに焼いてもらった

その時強く願ったんだ

もっと綺麗な形に

もっとおいしそうに

もっとみんなに注目されるように

いいや

そのままの僕に戻してくださいって。





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