旧態依然の大企業に不都合な時代環境について

4月2日の経済教室を踏まえます。

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以前は職の安定性は企業特殊的な人的資本(他の企業では役に立たないスキル)の蓄積を助けるといった議論もなされたが、現代の企業で企業特殊的な人的資本がどれだけ重要なのかは再考の余地がある。

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上述は、とりわけ大企業に言えることかと考えますが、大企業ほど縦割りの背番号制が多い時代が長く続き、実際の転職市場も、基本的にピンポイントの職種マッチングが多い現状があります。

私の場合は、たまたま「井戸掘り役」として、多くの「井戸掘り」をやってきた為、職種経験が豊富なのですが、基本的に人事異動は、ジョブローテーションの一環として部門内異動が多い現実が多くの大企業であることだと思います。

しかも、大企業特有の「アナログ技術」を身につけて処世をし、文化形成をし、「企業内通念」に染まることを前提にして人材育成や人事が行われています。

「企業内通念」は、多くの場合が「幹部の方々の常識」により形成されており、そういった「企業内通念」が仮に「時代錯誤」の場合には、今の現代社会においては致命的になりかねない、と思われます。

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企業にも労働者と同様にライフサイクルがあり、若い企業と高齢の企業では振る舞いが異なる。若い企業の方が若者を多く雇用する傾向があるから、この2つのライフサイクルは無関係ではない。国際比較では、日本は労働者の高齢化が進んでいるだけでなく、中小企業も高齢だ。若者の方が企業間を移動しやすく、また若い企業が新しい雇用を作り出す原動力という事実と合わせると、労働者と企業の高齢化も企業の再配分を減少させる効果を持つと考えられる。

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労働者の年齢が上がるにつれ、「守るもの」が大きくなり、その上で将来の軌道修正をし難くなる現実があります。企業間の流動性を高めたとしても、「仕事の質」自体のパラダイムシフトがないと、「10年後は見晴らしが違う」という楽天の三木谷社長の訓示にあるような時代環境で生き抜くことができるか疑問です。

私自身は、リスクマネジメント防災士の「井戸掘り」を終え、体制が安定し、今は「次の一手」を、近未来を見据えて取り組んでいます。

「副業」や「複業」を推進する政府の背景には、近未来の「賃金低下圧力」を見通しているかもしれない、と考えており、「総労働時間管理」や「拘束時間管理」が事実上難しい現実において、経団連が難色を示している事実が容易く変わるのか疑問に思います。

「GDPは、国民の幸福度の不完全な代理変数」に過ぎないとはいえ、見方次第で、「変われない」大企業よりは、「変えやすい」中小企業やスタートアップに有利な経済環境、時代環境になりつつあるのでは、と考えています。

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