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そうだ 四季報、読もう。

S&P500が弱気相場、世界的に株安。 

 2021年までの3年間、+20%前後のリターンを叩き出していて、株式市場で一人勝ち状態であったS&P500が弱気相場入りしたことから、リスク資産を売却する動きが市場に表出している。

 2月下旬、戦争が起きた4日後にの記事に、”そろそろ米国株式がマイナスリターンの年が来てもおかしくない。”と、これまで強気相場だった疫病騒ぎを含む3年間と、2022年とでは毛色が違うかも知れないことを含んで記したが、今のところ、それが現実となってしまっている。

 とはいえ、2022年はまだ半年以上の期間が残っているため、疫病の時のような、V字回復をする可能性もゼロではないが、個人的に2022年は疫病の時ともまた異なるルールで相場が変動せざるを得ないと推察している。

・米国では金融緩和を引き締める、出口戦略の局面となっている。
・戦争が年単位で継続する懸念。軍需産業や第一次産業が潤う一方で、平和の上に成り立っていたITやサービス業の需要は萎む可能性。
・某国の経済制裁により、これまでのグローバル社会の根底が覆されつつある。グローバルサプライチェーンの混乱。

 VIX(恐怖指数)が急上昇していることもあって、積立投資や買い注文を控えてしまいたくなるのが人間の性であるが、資本主義社会が破綻するとこなく、金融市場が長期では右肩上がりで成長し続ける前提が成り立つのであれば、これからの弱気相場は取得単価が下げられて、将来相場が回復した時に、大きなリターンが得られる機会とも捉えられる。

 逆に早期に損切りしてポジションを取らないことにより、含み損に耐える心理的負荷から解放され、弱気相場が終わる頃に再度市場に参加しようと思う人は多いが、バブルや恐慌の始まり、終わりを明確に知る術などない。

 それにより、絶好の買い場や上昇局面を逃し、得られるはずだったリターンを取りこぼす機会損失の方が遥かに資産形成へのダメージが大きいことはあまり知られていない気がする。

 資産形成で大切なのはどんな時も市場に居続けて、複利の恩恵を漏れなく受け取ることである。

群集心理に踊らされてはいけない。

 そもそも論、〇〇ショックと称されるマーケットの大暴落は、言わば株式のバーゲンセールのようなものである。スーパーのお弁当や惣菜売り場で3割引きや半額になっているのと、感覚的には大差ないはずなのに、多くの人はポジションの含み損を見て意気消沈して、買い注文まで辿り着かない。

 私は世間ではジェネレーションZ、スマホネイティブと言われる世代であり、株の売買も証券会社のアプリ経由で行っている。Macを所有しているため、WEBサイトからでも注文が行えるのは知っているが、SBI証券の場合、アプリとWEBのUIが乖離しすぎていて、WEBで注文できる自信がない。

 事細かに売買の設定をしたいであれば、情報量の多いWEBのUIに慣れるべきだと思っている。実際に無課金Spotifyの場合はWEB Playerが多機能なためそちらを使っている。

 しかし、SBIや楽天証券アプリの良いところは、一度に表示可能な情報量が圧倒的に少ない点にある。

 市場価格と保有銘柄の損益は下部のコマンドで切り替えない限り見ることがないため、トップページでマーケットのトレンドを確認し、前日比プラスであれば、保有銘柄で売り注文を入れるべき銘柄がないかを見る。前日比マイナスであれば、購入候補となっている銘柄のチャートを見て、安値や売られすぎだと思えば買い注文を入れる。これだけの話である。

 高配当株投資の場合、時価が一時的に下落しているのを気にして損切りするのは得策ではないため、あえてスマホアプリのUIで”時価を見ない”選択ができるため、VIX(恐怖指数)のような心理状態にならず、バーゲンセールで買い漁れるのかも知れない。

 とはいえ、自分の中で生涯保有のつもりで選定した銘柄が、この金額だったら買いと言う絶対的な基準を持っていなければ、いくらで買うかの判断は難しい。

ようやく本題。

 そこで登場するのが会社四季報である。ベテラン投資家には言わずもがなの、東洋経済新聞社が四半期毎に出版している、全ての上場企業4,000社弱の情報がコンパクトにまとめれらている辞書みたいな本である。

 投資初心者がいきなりこの本を読んでも、会計の知識を持ち合わせていなければ、訳が分からないかも知れない。私も駆け出しの頃に本屋で試し読みしてみたら、数字まみれで頭が受け付けなかったように記憶している。

 これは一般の方がみどりの窓口に置いてある時刻表を元に、希望する列車を特定しようと見開いた時の拒絶反応に通ずるものがあると、一介の鉄道員としてシンパシーを感じてしまう。

 それは兎も角として、日商簿記2級に相当する会計知識を有していると、四季報の偉大さが理解できるようになる。今や財務諸表の情報など、株式情報サイトから無料でいくらでも調べられるが、企業の情報がコンパクトにまとまっていて、独自の業績予想が市場に影響を与えている媒体は四季報以外に思い浮かばない。

 そんな四季報を眺めていると、株式情報サイトでは見向きもしなかった銘柄にポテンシャルを感じる場面に出くわすことが多い。もちろん、情報を鵜呑みにしてはいけないのだが、視野を広げる意味で大いに役立つし、独自の予想がどれほど妥当なのかを、自分が勤める業種で照らし合わせてみると、業界人と新聞社とでは、ものさしが違っていたりする。

 周囲に四季報を読んでいるような人が居ない環境のため、投資家界隈とのズレがある可能性も否めないが、とにかく四季報を読むと何故かポジションを取りたい欲求が湧いてくる。自分が目をつけていた銘柄にニコちゃんマークが付いていれば尚更だ。

 最後は自分自身の判断になるとは言え、弱気相場で怖気付いて何もせずに、嵐が過ぎ去るのを待つくらいであれば、そうだ 四季報、読もう。と保有欲を煽り、積極的に買い注文を入れるくらいが長期目線ではちょうど良いのかも知れない。


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