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想定外はできる限り潰しておく。

不本意な形での推しロス。

 2023年の2月最後の日、私の一番の推しである黒崎真音さんの訃報が所属事務所から公表された。この時に私は翌日に備えて早めに寝ていたこともあり、知らぬが仏状態で何事もなく3月を迎えた。

 朝に訃報を知った直後から、酒の力を借りなければ食事が喉を通らない状態で、真音ちゃんを思い出す度に涙が止まらず、3月になってから眠れている気もしない。控えめに言って重症である。

 35歳の若さで帰らぬ人となるなど、想像もしていなかったこともあり、完全に想定外のシナリオである。覚悟も一切出来ていなかったことから、人生史上のヤバいレベルを10段階で表すなら、今回の件は9/10に相当する。

 因みに10/10は死亡確率40〜70%の大病を患った時で、その次に匹敵する程度の危機(個人定な感想)である。愛猫や直系尊属が亡くなった際は、事前に覚悟ができていたため、寿命を全うしたのだから笑顔で送ってあげよう。などと思えるだけの余裕が普段ならあるが、文字通りの急逝で現実逃避にも似た状態に陥っている。

 これまでの人生で与えてくれたものが大きかっただけあって、それを喪失した時の悲しみも同じかそれ以上の大きさとなっている。自分でもヤバいと思う程度に何も手につかず、noteの記事も平次は一週間分程度のストックがあるが、全て使い切ってしまった。

 いよいよこの心境を文字に換えなければ先に進めない状態と化してしまい、清水の舞台から飛び降りる勢いで一週間振りにキーボードを打っている。

絶望こそ死に至る病。

 コロナショックで年収に匹敵する時価総額が吹き飛んだり、コインチェックのネム流出事件でオルトコインやレンディングサービスが凍結された時にケロッとしていた癖に、今回はしばらく立ち直れそうもない状態と、実に対極的である。

 鉄道員という職業柄、月曜日に人身事故が多いと感じる程度に、世間一般の感覚なら前者が堪えて仕方がないのかも知れないが、私の場合、金融資産はリスク資産として運用している以上、最悪半分になるかも知れないと、無意識のうちに覚悟を決めているため、半減するまでは「そんな時もある」と思えるわけで、発作的に身を投げるまでには至らないのだろう。

 日頃、想定外の事態など起こらないのではないかと、内心錯覚する程度に、最悪の状況をイメージしては取り越し苦労で済ませているだけあって、想定しうる最悪の状況を現実が超えてしまった時には驚くほど脆い。

 絶望こそ死に至る病である。ユダヤ人でアウシュビッツに収容されて生還した精神分析学者が、「夜と霧」で、こうであって欲しいと言う希望的観測や、根拠のない楽観を持つと、その現実が到来しなかった時に、生きる希望を失い、却って自分の首を絞めるだけ。

 なんてニュアンスで記していることからも、人類は進化の過程でネガティブに捉える種が生き残っており、我々はその末裔なのだから、いざという時に絶望しないためにも、日頃から悲観しているくらいでちょうど良いのかも知れない。

良い投資ほどつまらないもの。

 「人には常に希望という光が与えられている。だが、希望という病にすがり、溺れるのもヒトの常だ。私も碇も希望という病にしがみつき過ぎているな」

 シン・エヴァンゲリオン劇場版のクライマックスシーンでの、冬月先生の台詞にもあるように、人が生きていくためには何かしらの希望が必要だが、絶望と対となる希望もまた、時として病となり得ることを、エヴァあるあるな、一見哲学的っぽいが特に深い意味はない。思わせぶりな意味深セリフを引き合いに出して、ネチネチと理屈をこねくり回している。

 これを資産運用に置き換えるなら、運用利回りの複利カーブを現実的な数値と同じか、少し低い程度に設定して保守的な運用計画に留めるなど、平時には刺激などない、何も起きなくてつまらない位の冷めた温度感でいるほうが、結果として長続きして複利の美味しい部分の恩恵を受けられるのだろう。

 時間をかけてお金持ちになろうとする人は居ないから、人間が欲望のままに行動すると、投資という名のギャンブル、投機に走りがちであり、それが2021年頃まで見られたSNS界隈のレバナス民みたいな盲目感に陥るのだろう。

 私は保有資産額の9割以上をリスク資産である株式で運用しているが、外国株式は運用コストが低廉なインデックスファンド。日本株は言語の壁から情報収集面で有利なのと、配当狙いなら税制面の優遇もあることから、あえて個別株でアクティブに運用しているが、投じるセクターは保守的で堅い企業、かつバリューが集中している。

 2019年〜2021頃までは米国株一強な相場だったため、米国以外に投資している奴は情弱扱いだったが、2022年に状況が一変して、相対的に下げ幅が限定的だったこと、為替面も考慮すると対外的には割安感があったためか、買い支えられる側面もあった。

 ここ最近では東証再編や、JPXから値嵩株への投資単位引き下げ圧力、PBR1倍割れ銘柄の改善要求など、2024年から始める新NISAに向けて、グローバルスタンダードに合わせようとする動きが出ていることからも、米国株投資と形勢が逆転する可能性も否定できず、米国一強以外のシナリオとなっても、多少は恩恵が得られるポートフォリオを考えておくのが無難かも知れない。想定外はできる限り潰しておくに限る。


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