猪と花

小さな弟子が意見を聞きにやってくる

ので真剣に、割と長く、細かく年相応にお答えした話。


小さな弟子「ねえお母さん、年賀状コンクールに出したいんだけど」

と年賀状を持ってきた(応募要項に“未発表のもの”とあったので作品は出せないのですが)。

イノシシがくつろいで、いろいろな縁起の良いものがたくさん描いてあるイラストでした。

私が感心したのは、

・正月ならではの縁起の良いものを自分で調べて載せていること。
・縁起の良いものをたくさん描きつつ自然な雰囲気でひとつにまとめていること。
・構図にオリジナリティがあり、色々なアイディアを感じること。

修正したら良くなると思ったことは

・モチーフひとつひとつのコアな特徴を描き切っていないこと(描写を完璧にしなくてもよいけど、例えばツルならくちばしと羽が認識できなければツルっぽくない)
・せっかく縁起の良いものなのだから、左右対称性・伸びきる・開き切る表現を意識する。
・伝えたいメイン以外を目立たせないように工夫する。例えばイノシシよりテクスチャを感じる塗り方を背景に施さない。
 
ということを伝えると、

「描きなおしてくる!」
と言って描きなおしていました。(私は一応「次描くときは注意してみて」といったけど、本人は今すぐ実践したかったらしい)
意欲的な弟子なのでいつも感心しています。


私はイラストレーターですが、イラストはコミュニケーションツールのひとつであって唯一のものではないと思っています。

子供が…いや弟子が意見を求めてくるときに割と厳しめにする点は上にあげたような技術的な点ではなく、

「この後どうしたらいい?」
と判断を丸投げしたり、

「コンクールで賞とれるかな」
と賞を目的にするような態度をとった時。

「あなたはこれで何を表現したいの?どんな目的で作品を作るの?」

と注意します。

判断を丸投げしようとするときは、自信がなく正解を求めている時。ものすごく気持ちはわかるのですが、自分で試行錯誤することが大事です。

また賞を取ることをモチベーションにすると落ちた時と受かった時の差が激しすぎます。
 
弟子は今回
「自分が知ってるもの以外を調べながら描いてみる」ということが目的でした。なので、修正点はすべてモチーフを再検索して形を再確認することを重点的にしてもらいました。

年賀状作品は提出しましたが、良い結果ならば弟子の自信にもつながるのでうれしいなと思います。
しかし最終的な弟子の人生のビジョンはクリエイターではなく、「愛媛を日本の中で人気な県になるよう盛り上げる。そのために自分が目立つようになること」らしいので、作品作りは表現方法の幅を広げることかなと思います。

ぜひ弟子には広い視野で生きていってほしいです。

大みそかの夕方に思いついたらしくテントを出してきてわっと入り、眠った弟子たち。


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