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#創作童話 主役になれないと嘆く食材達の話

久々に創作童話を書きました。先日サークルに招待いただきまして、そこで続きを書くことを宣言してしまったもので・・・。さて、では本編行きます。楽しんでいただけたら幸いです。

我が家の子達がまだ小さかった頃のおやすみ前の習慣。一人ひとつのキーワードを言って全部お話の中に出てきたら「おやすみなさい」ってするの。さて、今回のキーワードはこちら。

「豆腐」 「とうがらし」 「白菜」

 ある満月の夜のこと。とあるお家の台所から、ひそひそと話し声が聞こえてきます。ほら耳をすましてみると…。

「お肉ちゃんたちはいいよなぁ…、だってステーキだって、ハンバーグだっていっつもお料理の主役で、あいつらが食卓にのぼるとみーんな大喜びだもんなぁ…」

「それに比べて僕たちと来たら…、絶対主役の一品にはなれないもんなぁ…」


どうやらお話しているのは、えはな食堂の台所にある食材たちのようです。


「僕なんてさ、みんなに辛い辛いって嫌われて…。それに、僕たちがメインの料理になるなんて絶対にないもんなぁ。豚の丸焼きはあっても、とうがらしの丸焼きなんてしてもらったこともないもんなぁ…」

こう話しているのはとうがらしくんです。次にその話を聞いていた豆腐くんが話し出しました。

「僕だってそうさ。味が淡白とか言われちゃって、いっつもポン酢やら醤油やらをかけられて口に放り込まれちゃうんだぜ…。僕だけで味わってもらったことなんてないんだから」

続いて、山椒君ももじもじしながら話に加わります。

「ぼ、ぼ、僕もみ、みなさんと、お、同じ、き、気持ちなんだな…。(裸の大将風に(笑))。」


『は〜〜〜』 っと、3人の深いため息が聞こえます。


とその話を聞いていた、白菜おじさんが口を開きました。


「君たちはまだ広い世界を知らない。この世の中には、本当にたくさんの料理があるんだ。君たちが力を合わせる事とできちんと、主役の一品となる料理がちゃーんとあるのだよ。我々ひとりひとりでは大した料理にならなくても、協力して料理になることで、栄養価も高まって美味しい料理になることができるんだよ。」


「例えば”麻婆豆腐”という料理を知っているかな?」と白菜おじさんは続けます。


「その料理は、ひき肉、唐辛子、山椒、豆腐、あとは鶏ガラスープなどの調味料で作られているんだ。名前にも入っているように、この料理は豆腐くんがいないと話にならない。それから、唐辛子くん、山椒くんのようなピリリと効いた辛みがこの命の料理なんだよ、ここではひき肉はむしろ君たちの引き立て役さ!」

その話を聞いた豆腐、唐辛子、山椒の3人は早速えはな食堂のコックさんに、麻婆豆腐の話をしたんだってさ!

はてさて、その翌日えはな食堂の食卓に並んだのは、白菜おじさんの教えてくれた麻婆豆腐だったんだとさ。


はい、3つのキーワードが出てきたところで、今日のお話はおしまーい!


※ヘッダーに使わせていただいた写真はみんなの写真ギャラリーから、とっても美味しそうな麻婆豆腐の写真を見つけたので使わせていただきました!







#子育て #ショートショート #創作童話 #子どもと楽しむ父ちゃん #いつか絵本にしたい


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