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【簡単あらすじ】invert 城塚翡翠倒叙集(微ネタバレ)【相沢沙呼/講談社文庫】


Invert(インヴァ―ト):逆転する、反転する



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『はじめに』
今年は暖冬と言われていますが、突然雪が降ったりポカポカ陽気になったりと、体調を崩しやすい日が続いております。しかし、部屋で読書に勤しむことはそういった外の気候が全く関係ありませんので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。



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強烈なインパクトを与えてくれた作品:前作「 medium霊媒探偵城塚翡翠 」の続編です。


今作は、以下三編の短編集です。

1.雲上の晴れ間


ITベンチャー企業の従業員・狛木繁人は、積年の恨みを晴らし将来を明るいものにするため、社長・吉田直政を〇害した。
狛木には、その時間「会社にいなくては作業することの出来ない案件を、同僚とTV電話をつなぎながら作業していた」というアリバイがあるが…

2.泡沫の審判


小学校教師・末崎絵里は、あるネタを元に強請られていた。
ある夜絵里は、それに耐えきれなくなり、強請の相手・田草明夫を深夜の学校で〇害した。
学校の防犯システムは、絵里が田草を〇害した後も、田草は生きていたと証明しているが…

3.信用ならない目撃者


某調査会社社長・雲野泰典は、調査で判明した弱みを利用し人を操っていたが、部下・曽根本が「その不正を警察にばらす」と言われ、口封じのため曽根本を〇害する。
しかしその現場を、ベランダで夜空を見ていた女性に見られてしまう

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前作を読んだ方からすると、「短編集か… 物足りなさそうだ…」と思われるかもしれませんが、今作は短編の形であることがプラスに働いています。

前作は作品を通じての構成に驚きましたが、逆に言うと、登場人物・特に城塚翡翠本人に対しての興味が湧くような内容ではありませんでした。

しかし今作は、短編集だからこそ、様々なシチュエーションで犯人と翡翠が対峙することになり、それについての翡翠の考え・行動が記述されることが多くなるため、翡翠を作り上げているバックボーンも少しずつ明らかになっています。

さらに「信用ならない目撃者」では、少し手ごわい相手との闘いも味わえることが出来ますので、きっと満足出来ると思います。

そして今作で、翡翠のバックボーンを少しずつ理解することが出来ますので、次作・invertⅡも、きっと本作を読んでからのほうが楽しめると思います。

ただ、作品の初め・contents欄にも記載されていましたが、本作には前作「 medium霊媒探偵城塚翡翠 」のネタバレも多く含まれていますので、まずは前作から読んで頂きたいと思います。

ミステリには様々なシリーズがありますが、城塚翡翠シリーズは、出版順通りに読むことをおすすめします。

次作も、時間が出来たときに読みたいと思います!

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今作は、倒叙ミステリということもあり、おそらく古畑任三郎(田村正和さん主演)をオマージュしていると思われる表現が所々にあったのですが、この番組をリアルタイムで見ていた方はどれくらいいるのでしょうか…

また、表紙デザインにも意味がありましたね…



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