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退職後、心が回復するまでには一年はかかる

人は、自分が強く依存しているものを喪失したときには、悲しむ必要がある。それを心理学者の小此木啓吾氏は「悲しむ能力」と読んでいる。

一般的にはこの喪失体験というのは家族であったり、身近な人との別れ(死別など)をさすケースが多い。

しかし、依存していると考えると、仮に退職者がその役職(〇〇会社の社員)に強いアイデンティティーを感じているとするのならば、退職は一つのアイデンティティーの喪失と取ることができる。

そして、特に多くの男性にとって、職業上の役割は自分のアイデンティティーの根幹となっている人も多く、やはり退職というのは意識するしないに関わらず多くの男性にとっては強い喪失体験となケースが多いのではないだろうか。

心理学者のHarveyは親密な関係が解消されたときに生じる心理的反応を以下の7段階に分けている。 

1.初期 ・ パニ ック ( シ ョ ック、 否認な ど)
2.第 Ⅰ 期 ・ 苦悶 (悲 し み、 絶望 な ど)
3.第 Ⅱ期 ・ 抑うつ
4.第 Ⅲ 期 ・ 無気力
5.現実直視
6.見直し (意味の探求、 希望など)
7.自立 ・ 立ち直り

突然の解雇などではなく定年退職なでのケースでは、初期の反応はないのかもしれないが、多くの退職者で以下のような経緯をたどって立ち直っていく可能性があると考えていいのかもしれない。

そして、それまでの時間については、強い依存関係の喪失からの回復には少なくとも1年は見たほうがいいと言われている。

そのことを考えると、少なくとも退職後1年間は自分のアイデンティティーの喪失からの回復の期間と見積もってもいいのではないだろうか。

退職された方も、周りのご家族なども、本人すらも気づいていないかもしれないが喪失からの回復という過程を一緒に見守っていくという心構えでいるといいのかもしれません。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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