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日本選手権2022②(男子10000m)

昨日は女子のレースについて書いたが、今日は男子のレースについて。底上げが進んでいるので、10000mのレースも2組分かれている。先に行われた1組では、林田選手(三菱重工)が引っ張り、中盤で大六野選手(旭化成)が抜け出してトップを取った。28分10秒台のフィニッシュだったので、後に行われる2組にも記録の期待が高まった。

2組目の注目は、なんといっても田澤選手(駒澤大)だっただろう。標準派遣記録を突破していたのは彼だけだったので、どうしても注目が集まる。相澤選手(旭化成)や伊藤選手(HONDA)と対峙した時にどれだけ普段通りの力を発揮できるか。

序盤はオープン参加のケモイ選手(愛三工業)とカンディエ選手(三菱重工)が引っ張る展開。日本人選手たちが付かないのが気がかりだったが、途中で井上選手(三菱重工)が付く。こういった飛び出しが井上選手のウリだ。その積極性がいつか花開くことをいつも期待している。

しばらくすると、また集団となりレースは推移する。相澤選手、伊藤選手、田澤選手は、10番以内のところで淡々と走っている印象。5000mの通過は13'49"と、標準記録を切るにはちょっと遅いペース。気候条件は良いかと思ったが、やはり5月ということで少々蒸し暑かったようだ。

このままズルズル行ってしまう感じになった時、一人の選手が飛び出す。鎧坂選手(旭化成)だ。もうベテランの域に入っているが、今年はマラソンでも結果を出しており、まだまだ衰えを知らない。記録的に微妙な雰囲気に喝を入れるかの如く、レースを動かす。

すると相澤選手らの動きも良くなってきて先頭集団を形成する。残り8000mを過ぎたところでペースアップすると、田澤選手が途端に苦しくなる。ここまで相澤選手の動きに反応できていたのが、一気に落ちていく。脇腹を押さえていたので差し込みが来たのかもしれない。

残り3周で相澤選手は飛び出し、オープン参加の2人とともに集団を形成し、そのままフィニッシュ。タイムは27’42”85で、標準記録を突破することは出来なかったため、6月のホクレンディスタンスチャレンジで記録を狙うと思われる。2位には伊藤選手、3位には市田孝選手(旭化成)が入り、2人についても記録を狙うレースを挟む必要が出てきた。

今回の日本選手権、女子の小林選手と男子の田澤選手の学生2人には厳しい結果となった。2人とも実力はあるだけに、重要なレースにピークを合わせる難しさを見ている側もわかることになった。田澤選手はレース後のインタビューで4月の織田記念以降に調子を落としたとコメントしていた。休まずに練習を継続したことで最高の状態に持ってこられなかったようだ。この辺の判断はとても難しい。世界と戦うためにはさらにレベルを上げないと……という考えと、とりあえず目の前の日本選手権に照準を合わせるという考えと、どちらを優先させるかという話だと思う。若い田澤選手だから無理ができてしまうだけに、今回は練習した選択が裏目に出てしまった格好だ。とはいえ、これも経験であり、まだ世陸の道が断たれたわけではないので、うまく気持ちが切り替わるといいなと思う。

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