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83.わたし、ひとりぼっちは怖くない。

好奇心がわたしを強くする。

どこにだって行ける気がするのが東京の利点だ。
今日もひとり、わたしは電車に揺られ旅に出る。
電池の切れない言葉を紡げるツールがあったならいいのに、ノートではあまりにも零れ落ちるものが多すぎて。

ひとりぼっちはとても身軽だ。
ひとりぼっちは怖くない。
でもたまに、ふと、誰かに会いたくなる。


カバンの中には台本が入ってる。
音楽を聞く機械も入ってる。

でも、きっとそんなもの
触れることなく目的地に着いてしまう。
想像力もわたしの強みだ。
まるで小説の中に入り込んだみたいに、見えるもの感じるものを書いて残したくなる。その、心が紡ぐ言葉の速さにいつだって置いてけぼりにされる。

そこは、かつて訪れた街だった。
いつだったか、一人旅なんて大きなこと言って訪れた街がそこだった。

その街は変わったろうか。
わたしは変わったろうか。

どんな面持ちで再びその街の空気を感じるのだろう。

ほら、あと数駅でそこに着いてしまう。
東京はわたしをどこへでも連れて行く。

ひとりぼっちは怖くない。
ひとりぼっちは怖くない。

わたしは歩く。春の陽気の中を。
きのみきのまま、思うまま。

どこまでも行こう。
心が踊り惹かれるままに。

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