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共感する際の注意

コミュニケーション能力が求められる世の中では、同時に聞く力が求められる。聞く力とは、様々な本で語っているように、相手の話を最後まで聞き、言葉の裏の感情を読み取ることである。

叱りつけてくる上司は「なんでできないんだ!」と言ってくるかもしれないが、その裏には部下に仕事が出来るようになってほしいという気持ちがあったりする。この第二の感情を読み取る能力が最近では求められる。これを「共感」と呼ぶ。
まぁ難しい世の中である。

こうした聞く力と同時に注目されているが、共感は同感とごっちゃになりがちである。私が思うに、2つの差は以下の通りだ。

同感:相手の今の感情にフォーカスすること
共感:相手のこれまでの感情に理解を示すこと

具体例で示そう。

とあるカップルがディズニーのエントランスで大喧嘩していたとする。こういう時は大抵女性が男性に怒りをぶちまけるイメージがあるので、今回は女性の感情の読み取りを例にしたい。

👩「なんであなたはいつも分かってくれないの!」
👨「分かってるよ。○○のせいで怒ってるんだろ?」
👩「違う!!それじゃないの!!」
👨「じゃあなんだよ」
👩「どうして分かってくれないの…」

みたいな会話。私は実際に新宿駅南口で見たことがあるが、側から見ても「男性よ、そこじゃないだろ…」という態度や理論で宥めようとしている。

今回の例では分かりにくいかもしれないが、要するに彼女にはディズニー前から小さい不満が溜まっていたのである。それがたまたまディズニーで弾けた。だが男性はディズニーで弾けたからディズニーで原因を探すのである。

男性がしている行動は同感である。「とあることがあったから悲しんでるんでしょう、だからそれは悪かった」という論理で、彼女の現在の感情に寄り添う行動をしている。これをしようとするだけでもなかなかに偉いと私は思う。

だが、女性の多くは腹立てた瞬間に怒りが爆発することはあまりない。一つ一つは問題がないが、地味に自分の心を犠牲にしていて、ある時に崩壊する。まるでジェンガのような感情とでも言おうか。すぐに怒る人は日頃から小さい我慢を無意識にしている人である。

この女性がしてほしいことは、要するに、少しでいいから普段から気にしといてほしいということである。つまり、さっきの例での正解は、

「ディズニーで弾けた感情は今更どうもできないので、ひたすらサンドバッグになれ」

ということだ。まぁ理不尽の極みだが、男性もこのようなことをよくする。しかも男性はこうした爆発がない分、似たことをする際はタチが悪い。つまり、

共感は男女問わず最強の配慮である。

だが、共感にはどこか女性を対象とするイメージはないだろうか。こうした話は恋愛の場でよく聞くことが多いので、男性が一方的にすべきだと思いがちだ。

だが、男性同士や女性が男性に対しても気を使うという視点も大切である。

例えば夫婦間の会話である。仕事で疲れて帰ってきた旦那に対して、「疲れてるのはあなただけじゃないんだから」的な発言をしている人はいないだろうか。

これは何も嫁が悪いのではない。嫁は家事の疲れが旦那の仕事よりも大変だと伝えたいだけである。「あなたは仕事が終わってるからいいわね、私はまだやらなきゃいけないことがあるのに」というある種の妬みすらあるかもしれない。

実際、家事は半端じゃなく疲れる。旦那がダレるのを見てイライラするのはわかるが、旦那も一息つきたいのだ。自分がダイエットしてる最中、目の前でケーキ食べられたら腹立つという感情に近いかもしれない。

代わりに「一息ついたら手伝ってくれる?」と言えば、愛する妻のために頑張るのが旦那である。男の私が言うのも変だが、男を動かすのは極めて簡単である。まぁ理想は、言わずにやってくれることなのだろうが…

要するに何が言いたいのかというと、

共感は「誰を主人公に話を聞くか」という聞き手の無意識が前提にある

ということだ。そして共感力とはその事実に気づいて、自ら相手寄りに修正する力と言い換えられる。

だから感情に安易に寄り添うのではなく、普段からこまめに相手を見ておくということ、そしてそのための心の余裕を常に残しておくことは大切だろう。そうでなければ、共感力はいつまで経っても身につけられないのではないだろうか、と思う。

これを書いてる私自身も気をつけていきたいと思う。

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