見出し画像

企画部門・戦略部門が必要な理由

多くの企業や組織では、戦略企画、経理のFP&A、人事のCoE、IT企画・戦略部など、長期的な視点での戦略や企画を担う部署が設けられています。これらの部署が必要な理由を『組織デザイン』からの学びを要約しつつ考えます。

分業の種類とメリット・デメリット

分業には複数の形態があります。並行分業では複数人が同じ作業を同時に行い、シフト制は並行分業関係にある作業を時系列に配列します。一方、並列型機能別分業では、エンジン・ブレーキ・タイヤなどの部品を別々に製造し、最後に統合します。直列型機能別分業では「こねる→成形する→焼く」といった作業を直列に配置します。垂直機能別分業は、考えるタスクと実行するタスクや、長期を考えるタスクと短期の問題処理を行うタスクを分離します。

分業には一般的に次のメリット、デメリットが存在します。

メリット
設備やノウハウの共同利用
・経済的スタッフィング … 特定の技能に特化した人材を経済的に雇用できる
・タスクを切り替える際の時間の節約

デメリット
全体に対する自分のタスクの意味が分からなくなることによる意欲の低下
・特に垂直分業における"考える人が考えたタスクを実行する人"、"短期視点の問題解決をする実行する人"の自らの頭で考え工夫する余地の減少
・作業粒度が細かくなることによる学びの機会の減少

計画のグレシャムの法則と垂直分業

「悪貨が良貨を駆逐する」というグレシャムの法則から派生した、「定型的な仕事量が多いと長期を想定したり抜的に仕事のやり方を変更するような創造的な業務が後回しにされてしまう」という現象を、計画のグレシャムの法則と呼びます

分業の中でも垂直分業は、主に長期視点で考える戦略・企画業務を日常的なルーチンワークから切り離すことで、計画のグレシャムの法則を回避できるというメリットが存在します。個人的にはこれこそが戦略・企画部門を設置する大きな意味ではないかと思いました。

プロジェクト化とコンサルの活用

「戦略・企画業務を日常的なルーチンワークから切り離す」と考えると、特定の問題解決のためにプロジェクトやタスクフォースを作ったり、外部のコンサルを活用することにも同様の効果があることが分かります。

組織の分割やプロジェクト化は既存人材をルーチンワークから切り離すことで、外部コンサルの活用ははじめからルーチンワークを持っていない人を雇うことで、後回しにされがちな戦略・企画業務を推進しようとする試みと言えます。

以上です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?