組織活動定着化のための壁

皆さんの職場には、いつも質問に答えたり、勉強会を主催したり、資料のテンプレートを作ったりしている人はいないでしょうか。このような活動を積極的に行うこと、またそれを促すことについて賛否はあると思いますが、私は人事・総務・経理などのいわゆるバックオフィスと同じく、直接利益には結びつかないかもしれないが、利益に繋がる活動の生産性を上げる重要な仕事だ、と考えています。

この記事では、直接利益を生まないが、他の従業員や組織全体として利益を生む助けになる活動を「組織活動」と呼びます。そして、私は現在社内で組織活動を推進しようとしているのですが、そこでぶつかっている壁について書きます。

人事評価

組織活動はその効果が見えづらいです。例えば、100の仕事をした人と、100の仕事をする5人の役に立つ資料を作った人(組織活動)、では前者の方が圧倒的に評価されやすいと思います。前者が直接モノを持ち上げるのに対し、後者はてこを使って持ち上げるイメージでしょうか。この資料が今後50人、100人に使われていくなど、うまくてこが効いていれば、後者も大きな成果に繋がる可能性があります。しかし、定量的な評価が難しいことから、後者は評価されにくく、場合によってはボランティア扱いをされてしまうことがあります。そうなってしまうと、彼らはやる気を失い、100の仕事をするようになります。

特に、人事評価が「相対評価」で行われている場合、この傾向が顕著になります。組織活動は直接利益を生む活動と並べて比較するのが難しい上に、取り組んだ結果が組織全体の評価につながるため他の従業員と差が付きにくく、場合によっては搾取される格好となってしまいよりやる気を失いやすいと言えます。一方で、人事評価が「絶対評価」で行われている場合、比較的社内活動を評価する仕組みを取り入れやすいと思われます。

目先の利益や課題への対応が優先されてしまう

仮に評価に繋がるようになっていたとしても、社内活動よりも目先の利益や課題への対応が優先されている環境では、組織活動を行っている従業員は「余裕がある」とか、場合によっては「遊んでいる」とみなされてしまい、別の仕事を振られ、社内活動に時間をさけなくなってしまいます。

人手が余っているという職場はほとんどないと思います。とは言え、目先の利益や課題に起きてから対応していると、仕事が2倍に増えたとき、人を2倍に増やさなければならくなります。組織内でプロセスや作成資料の標準化を行うなど組織活動を日常的に行い組織を強化することで、仕事が2倍に増えても、人を2倍に増やさなくても対応できる力を着けていけるはずです。

組織活動定着化のためには、社内活動が評価に加わるだけでなく、場合によっては他の仕事よりも組織活動が優先されるべきである、というレベルで重要性が認識されている必要があります。

予算の確保

組織活動定着化のための最終関門は予算の確保です。組織活動の重要性が十分に認識されていても、予算承認者を説得しなければ、組織活動は正式な仕事とみなされず、空いた時間で行うボランティアに留まってしまいます。ですが、前述の壁を乗り越えて組織活動の重要性が認識されているのであれば、活動計画の作成や投資対効果の試算などをメンバーの協力を得てきちんと行うことで、予算を獲得し定常的に組織活動メンバーを抱えることは十分に可能ではないかと考えています。

また、IT、コンサル業界など、基本的にプロジェクト単位で仕事をする業界はでは、プロジェクトごとの予算の中で経費やメンバーの給料を賄うようになっていると思います。私の会社のある社内活動チームでは、そのチームのアセット(作成した資料など)を利用するためには、利用するプロジェクトの予算の一部を納めなけれならない、という制度を作っていました。このように、プロジェクトから少しずつ予算を集めることで活動費を捻出するという手もあるようです。

おわりに

社内活動を推進しようする中で見えた課題を挙げてみました。他にも課題や、課題に対する解決方などあれば教えていただきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?