結婚しないほうがよかったのかもしれない。
好きになれると思ったけどやっぱりだめだ。
家族のために働く気がない男はだめだ。「稼いでるほうが払えばいいだろ」なんていう男はだめだったんだ最初から。「結婚祝いに親がいくらくれるか楽しみ」なんていう男はだめだ。そういうのはずっと変わらない。子どもができても変わらない。40代になっても変わらない。

私がばかだった。違和感があったときにやめればよかったんだ。いくら都合のいい男でも優しい男でも、もっと考えるべきだった。やめるべきだった。そういう流れだったとしても、あそこは全力で流れに逆らうべきだった。

お金のことばかり、と言われるのが嫌で、もう仕事のこと家計のことは話さなくなった。話さなくなったのは、あきらめたから。私の都合で結婚してごめんて思っていたけど、夫は夫で私と一緒にいるのは都合がいいのだろう。

そうやってまたどんどん、ここにいないあの人のことを考える。
あれは現実じゃない。現実じゃないことを心の支えに、朝も昼も夜も働く。