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ヴードゥーと魔女のアメリカ

昔、『アメリカン・ホラー・ストーリー 魔女団』というアメリカの連ドラにはまっていました。
内容は、現代に生きる魔女たちのハナシ。舞台はアメリカ南部のニューオーリンズ。
ただのオカルト・ファンタジーかと思いきや史実もかなり織り交ぜられていて、アメリカ史の裏街道を知ることができます。

アメリカで魔女といえば魔女裁判で知られるセイラムが有名ですが、ニューオーリンズは、ハイチから伝わったヴードゥー教とネイティヴアメリカンの信仰と、カトリックが交じり合った独特の精神文化があるそうです。

ニューオーリンズといえば・・・黒人、ジャズ、「欲望という名の電車」くらいのイメージしかなかったのですが、なかなか面白そうなところです。ちょっと行ってみたくなりました。
魔女グッズ、ヴードゥー魔術の店などもあり、また心霊現象が多発する町で、特に2005年8月のハリケーン・カトリーナによって多くの方が亡くなってからは幽霊の目撃事件が急増したとか。

さて、ドラマの主人公は、セイラムから逃げ延びてニューオーリンズにたどり着いた魔女の子孫という設定。ニューオーリンズに実在した人物なども関わってきます。

例えば黒人奴隷大量虐殺者マダム・ラローリー(マリー・デルフィーン・ラローリー/1775~19世紀半ば)。
彼女は裕福な貴婦人でありながら、邸宅の屋根裏で黒人の使用人たちに対して血も凍る残虐行為を行い死に至らしめていました。

彼女の邸宅は現在、幽霊屋敷&博物館としてフレンチクウォーターの人気観光スポットになっています。一時期、ニコラス・ケイジが所有していました。
そしてヴードゥー・クイーンと呼ばれたマリー・ラヴォー(1801~81)。
ヴードゥー教の女性司祭(マンボ)で、儀式や集会、ダンスを取り仕切り、信者らとともにヴードゥーの神々に祈りを捧げました。いまも、当時集会が開かれた場所でヴードゥーの太鼓タムタムの音や歌声が聞こえることがあるそうです。
↓マリー・ラヴォー

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セントルイス第一墓地にある彼女の墓もオカルトファンに人気。彼女に願いごとをかなえてもらいたい人は、その墓にXを書き、3回まわってから墓をノックして願いごとを叫ぶのです。
もし願いが叶ったら再び墓を訪れ、自分が書いたXを〇で囲み、墓に供え物をします。
彼女の歌まで作ってしまったアーティストもいるとか。

ヴードゥー教といえば、その信仰の中で最もよく知られているのが生きている死体「ゾンビ」。ゾンビパウダーにより仮死状態にされて葬られた人が、掘り起こされたものです。

ちなみにニューオーリンズがあるルイジアナ州はかつてフランスの植民地でした。この地を獲得したルイ14世の名前「ルイ・ジャン」がなまってルイジアナとなりました。

ニューオーリンズNew Orleansも「新・オルレアン」という意味で、オルレアン公という王族にちなみます。オルレアンという町もフランスにあり、ジャンヌ・ダルクが活躍したことで知られます。
それでニューオーリンズの中心部はフレンチ・クウォーター(フランス人地区)と呼ばれているわけです。

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