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面白過ぎるアイデアを持ったYコンビネーターの生成AI系スタートアップ8選

初めまして!
Xで主にスタートアップ関連や生成AI関連の事業・技術・動向を発信しているRICと申します。

こちらのnoteを見られている方は、
「YC2023年夏バッチまとめスプレッドシート」をご覧いただいている方が多いかと思います。
こちらのnoteでは、YC2023Summerのスタートアップ全218社の中でも「生成AIを使った面白いアイデアを持ったスタートアップ」を8社選び、以下で紹介していきます。


では早速ですが本題に入らせていただきます。



1.マッキンゼーのクオリティのレポートをAIで生成

スタートアップ名:Watto AI (ワットAI)

Watto AIは、数秒でAIによるMcKinseyレベルのクオリティを持つレポートを生成しようと試みるスタートアップ。LLMを使用して高品質なマーケティングレポート、カスタムメイドのホワイトペーパー、製品文書など、さまざまな文書を迅速に生成するアプローチをとる。

創業者

  • Rishabh Panwar: 創業者兼CEO。カーネギーメロン大学の卒業生で、起業家。(https://www.linkedin.com/in/rishabhpanwar/)

  • Ishita Bhandari: 連続起業家、ワシントン大学の卒業生。7年以上のソフトウェア開発の経験を持ち、StubHubやDoorDashなどの企業での勤務経験あり。モバイルアプリやUXの向上に強みを持つ。(https://www.linkedin.com/in/ishita-bhandari/)

  • Suryansh Soni: コンピューターソフトウェア業界での経験を持つ創業者。ソフトウェアエンジニアリングに焦点を当てたカーネギーメロン大学の情報技術の修士号を持つ。(https://www.linkedin.com/in/suryanshsoni/)

スタートアップが解決する問題:

従来は作成・校閲・レビューイングに長い時間を要していたマーケティングレポートから製品文書の大枠のドラフトを短期間で生成できる。

潜在的な顧客の特性:

高品質のレポートや文書の迅速な生成が必要なビジネスや個人。タイムリーかつ正確なレポート生成が重要なマーケティング、製品管理などの専門家も対象。


2.アップルの商品デモのようなプロレベルのデモ動画をAIで作成

スタートアップ名:Kite (カイト)
Kiteは、ソフトウェア企業がAppleのような洗練された美しい製品ビデオを制作するのを支援する。アプリケーションのスクリーン使用画面録画をそのままプロが手がけるような製品動画に変換できる。
WebGLとAIを活用することで、本格的な動画制作に関連する費用を大幅に削減可能。

創業者

スタートアップが解決する問題:

動画マーケティングは1040億ドル規模の巨大市場だが、本格的な製品デモ動画を作成するプロセスは、何年にもわたって停滞している。
Kiteは、単なるスクリーン録画をAppleスタイルの製品ビデオに変換するソリューションを提供することで変革をもたらす。

潜在的な顧客の特性:

高品質のビデオを通じて製品をマーケティングしたいソフトウェア企業が対象。従来のビデオ制作に高いコストと高度なクリエイティブ制作の必要性によって困難を抱えていることが多い。


3.カスタマーサポートの70%を代替するAIアシスタント

スタートアップ名:Octo (オクト)
Octoは、カスタマーサポートの外注を置き換えるためのAIサポートエージェントを提供する。Thunderfit、eToro、UPSなどの企業に既に導入されており、カスタマーサポート係が行う作業の70%を自動化できている。

創業者

  • Ohad Navon: Roundforestを18ヶ月以内に200Mドルから10億ドルのGMVに成長させたAIサポートチャットボットを立ち上げ。エンジニアとしてGoogleの詐欺防止で1億ドルのコストダウンに成功。McKinseyにデータサイエンティストとして関わる。(https://linkedin.com/in/ohad-navon-639b356a)

  • Nadav Zamir: AlibabaのAI統括として中国版Googleフォトサービスを立ち上げ。Intelで世界初のワイヤレスVRヘッドセットの製造に関わる。(https://linkedin.com/in/nadavzamir)

スタートアップが解決する問題:

カスタマーサポートの外注は、多くの企業にとってコストが高く非効率な作業として認識されている。Octoは、AI技術を活用してサポートエージェントの作業の大部分を自動化し、効率的かつコスト効果的なサポートソリューションを提供する。

潜在的な顧客の特性:

カスタマーサポートに係るコストダウンと効率化を達成したい企業や組織。特に、大量のサポートリクエストを処理する必要がある企業や、高品質のサポートを提供しながらコストを削減したい、大量の顧客を抱えるB2C企業が対象。


4.移民のための法的申請手続をアシストする弁護士のためのAI

スタートアップ名:CaseHopper (ケースホッパー)
CaseHopperは、移民弁護士向けのAIによる書類ドラフトの作成を自動化する。LLMとクライアントの入力フォームを組み合わせることで移民申請書を瞬時に生成。

創業者

  • Anuhya Vajapey: 創業者兼CEO。以前はF5やMcKinseyでの製品および戦略業務に従事。機械学習のバックグラウンドを持つ。(https://linkedin.com/in/anuhya-vajapey)

  • Juan M Ochoa Ortiz: 創業者兼CTO。以前はMicrosoft BingやMetaでのデータサイエンスおよびソフトウェア関連業務に従事。言語モデルを使用した情報抽出システム構築のバックグラウンドを持つ。(https://linkedin.com/in/juanmanueloo)

スタートアップが解決する問題:

移民弁護士は、移民申請書を作成する際に多くの時間と労力を費やす必要がある。LLMと移民クライアントの入力フォームを組み合わせることで、書類作成プロセスを効率化し、移民申請書を瞬時に生成するソリューションを提供する。

潜在的な顧客の特性:

移民申請書の作成に関連する課題に直面している移民弁護士や法律事務所。特に、大量のクライアントを抱え、迅速かつ正確なサービスを提供する必要のある大型事務所が対象。


5.「TikTokキラー」を謳う次世代ショート動画プラットフォーム

スタートアップ名:Anneal (アニール)
Annealは、生成AI技術を使用してショートビデオのビデオコンテンツを作成および共有するためのソーシャルプラットフォーム。TikTokと似た形式で、クリエイターのクリエイティブ制作コストを下げることで競合優位性の確立を狙う。

創業者

  • Akash Kashyap: 共同創業者兼CEO。以前はTandem (YC S19)でエンジニアおよび唯一の製品マネージャーとして勤務。GoogleおよびAWSでエンジニアとしての勤務経験も持つ。(https://linkedin.com/in/akashya)

  • Tyler Kahn: 共同創業者兼CTO。以前はGoogle、AWS、Outreach.ioで勤務。OmreaderのCEO/創業者。AWSでは、AWS Auroraの内部モニタリングプラットフォームをゼロから構築するチームをリード。(https://linkedin.com/in/tyler-kahn-40436426)

スタートアップが解決する問題:

現代のZ世代のユーザーやクリエイターは、短い形式のビデオコンテンツを迅速に作成および共有する手段を求めている。Annealは、生成的AIツールを使用して、ユーザーが簡単にビデオを作成および共有できるソーシャルプラットフォームを提供する。

潜在的な顧客の特性:

ビデオコンテンツの作成および共有に関心を持つ個人や団体のクリエイター。特に、定型的なコンテンツが多く、コンテンツ制作に単純作業が多く含まれるインフルエンサーが対象。


6.あらゆる業務に組み込める汎用型AIアシスタント

スタートアップ名:Spine AI (スパインAI)
Spine AIは、企業が数分でAIアシスタントを構築するのを支援するサービス。法人向けSaaS製品のUXを変革し、顧客がチャット形式のUIを使用して目的を達成することを容易にする。企業は現在のサービスのUIの限界を突破し、複雑なUIワークフローを簡素化することができる。

創業者

スタートアップが解決する問題:

多くの企業がサービスのUXを向上させるための効果的な方法を模索することに苦労している。Spine AIは、生成AIツールを使用して顧客が持つ悩みやサポート要求をチャット形式で直接打ち込めるUIを提供する。

潜在的な顧客の特性:

魅力的なサービスを持つが、サポートのUXを向上させる決定打を持たない企業や組織。特に、ユーザーとサービスの距離を近め、より高い顧客体験を提供したい大企業や組織が対象。


7.銀行業務の煩雑なタスクを自動化してくれるAIアシスタント

スタートアップ名:Cascading AI (キャスケーディングAI)
Cascading AIは、中小規模の銀行向けの機械学習インフラを構築するサービスを提供。AIを通じて銀行業のあらゆる単純処理を簡略化する。

創業者

スタートアップが解決する問題:

銀行業界が抱える莫大な非構造化データの山を処理するソリューションを提供。銀行が効率的に業務を自動化し、顧客により良いサービスを提供することを可能にする。

潜在的な顧客の特性:

非構造化データの蓄積処理と有効活用という課題に直面している銀行や金融機関。特に、先端技術に投資する予算を確保できず、DX化の促進が難しい中小金融機関が対象。


8.生成AIによるニュースネットワーク

スタートアップ名:Infobot (インフォボット)
Infobotは、AI生成ニュースネットワークの先駆けとして位置づけられる。LLMを利用してニュースコンテンツを生成することで、記事の生成コストを大幅に削減することを可能にする。このコスト効果的なアプローチにより、主流のトピック以外のニッチなジャンルまでを網羅的に情報取得・発信することができる。

創業者

  • Justin Harvey: ソフトウェア運用に長ける創業者。(https://linkedin.com/in/justin-harvey-68a963b6)

  • Eduardo Faraday: AIとゲーム開発のバックグラウンドを持つ創業者。以前はWorkepを創業し、30万人以上のユーザー抱える企業に育て上げた。また、Oasisでの製品リードとして、最初のAIビデオアバターを導入した経験を持つ。(https://linkedin.com/in/edufaraday)

  • Orestis Lykouropoulos: ギリシャ生まれ、米国在住のソフトウェアエンジニア兼作曲家で、Infobotの創業者。以前はAWS AIやAlexaで勤務。(https://linkedin.com/in/olykos)

スタートアップが解決する問題:

ニューヨークタイムズのような伝統的なニュースメディアは、コンテンツ生成に関連するコストのためにカバーできるトピックの範囲が限られている。InfobotでAIを使用してニュースを生成することで、情報のカバレッジを多様化するだけでなく、ニッチで人員投入によるリターンが見込めないジャンルまでを網羅することで、ロングテール効果によるユーザー獲得が見込める。

潜在的な顧客の特性:

主流トピックはもちろん、ニッチなトピックまで包括的なニュースカバレッジを求める個人や組織。多様な視点を持ち、幅広いトピックに関する情報を求める人々。


まとめ

上記の8社のスタートアップは、それぞれ既存の組織・個人・属性が抱える社会課題や事業課題を解決するためのソリューションを生成AIを使って解決しようと試みています。

  • Yコンビネーターのスタートアップを見ていると、近年の技術トレンドや投資領域がどこに向いているのかということがはっきり表れていることが感じられます。Yコンビネーターに選出されたスタートアップのうち、実際にAirBnbやDropboxのようにユニコーンとなる企業はたったの4.5%という調査も出ており、ここにまとめた8社も確率的には1社生き残るか否か、という厳しい生存競争が待ち受けていることは明らかです。
    その中でも生き残る企業、事業を早々に畳んでしまうことになる企業、ある程度のスケールはしたが失敗してしまう企業など様々なケースが今後見られ、それぞれの成功/失敗要因を先例として学ぶことでスタートアップの新たな知見に繋がると考えています。

こちらで紹介した「YC2023年夏バッチスタートアップまとめ」も定期的にアップデートして参りますので、拡散・共有していただけますと励みになります。

最後までお読みいただきありがとうございました!

ヘッダー画像記載元:
https://medium.com/the-oyster/why-y-combinator-should-be-an-inspiration-to-edtech-startups-a9af7a03bd04

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