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第三の目

何の取り柄もないわたし。
「何の為に生まれてきたのだろう?」
そんな事を考えながら歩いていると、
いつの間にか、暗闇に落ちてしまった。
もはや手探りで進んでいくしかない。
周りは見えないし、
何もわからない状態で
恐怖心が拭えない。
「この状態が続いたらどうしよう?」
と考えるだけで、
恐怖は増すばかりだ。

だが、この不安な感情に
のまれる訳にはいかない。
ここは一旦、
ひと呼吸して
今を見つめよう。

少し気持ちは切り替わったが、
相変わらず
以前と状況は変わらないまま。
さらに進み続けていくうちに
いつもと
見える感覚が
なんとなく違う事に気付く。
なんだろう。
恐怖心も和らいでいる。
どうやら
自分の内側を覗いているようだ。
いつも見える目とは
反対側に付いている
違和感のある感覚。
「新しい目は、わたしを見つめる目だ」
第三の目に気付かないまま
いままで日常を過ごしてきた。
いつも外側から飛び込んでくる
情報ばかりに気を取られていた。

「こんな気付きがあるならば、暗闇も悪くない」
そう思った瞬間、
遠くからゆっくりと
光が射しこんできた。
映し出された景色は
見たことのない美しい世界だった。
いつの間にか、
わたしは安堵と優しさに包まれている。






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