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最近好きな本のこと。


仕事柄、読みたい本との出会いは、図書館で、となることが圧倒的に多い。
図書館で借りて読んでから、手元に置いておきたい本を買うことにしている。

それでも時々、本屋さんの店頭で、気になって,少し読んでみて、「あぁ、これはとても好きかもしれない」と思うと、我慢できなくて購入してしまう時がある。



余談ですが、高校生の時に「きらきらひかる」を読んで以来、その世界観がとても好きになり、その後、他の作品も、どれもこれも好きすぎて、保存用と持ち歩き用で2冊ずつ買っていたのは、江國香織さんの本たち。(残念ながら、それほど好きになったのは、後にも先にも江國さん1人しかいない。今のところ)



そんな私が最近買ってしまった、店頭で気に入った本2冊を紹介したいと思う。


「編めば編むほど
わたしはわたしになっていった」 と、
「プリズム」 の2冊。


「編めば編むほど…」は、編みもの作家の三國万里子さんが書いたエッセイ本。


私が虜になったのは、一番最初の「三國さん」。若かりし頃、後に夫となった三國さんという男の人との、まるで小説のような素敵なエピソード。

それでも毎朝挨拶するうちにわかったことがあった。
三國さんの胸のポケットにはいつもタバコとライターが入っている。どんな味がするんだろう。なんていう銘柄だろう。
知りたい。

「編めば編むほど わたしはわたしになっていった」


知りたいけれど,直接聞けない万里子さんは、朝、コンビニのレジに並ぶすべてのタバコを一箱ずつ買って、(20〜30箱!)
クリスマスだから、皆に一箱好きなのをあげてるんだと言って、三國さんのところへ持って行く。


その日の帰り、コンビニで、改めてキャスター・マイルド1箱と、ライターを1本買った。自分の部屋で、台所のシンクに向かって1本火をつけてみる。
吸って、口から入ってくるのが煙だけ,というのはおかしな感覚だった。
こんなものが好きなのか、三國さん。

「編めば編むほど わたしはわたしになっていった」


そして、律儀にも1日3本,同じ銘柄のタバコを吸ったという。

かわいらしいし,小説やドラマの一場面みたい。

その他のエピソードも、万里子さんの視点から描かれていくと、どれもとても素敵な物語となっていく。


万里子さん曰く、編むように書いていったそう。


編み物のみならず、文才もあるなんて!


もう一冊は、ソン・ウォンピョンさんの
「プリズム」。


彼女の作品としては、「アーモンド」と
「三十の反撃」の方が有名だと思うけど、私は「プリズム」が一番好きだ。

それぞれの登場人物の各々の視点から、物語が紡がれていく。
私の好きな江國香織さんの作品にもどこか似ている。

ひとつの恋とその終わり。
全体的にサラッと描かれている。
この歳だからなのか、人生そんなこともあるよね、とわりとすんなり物語が通り過ぎていく。


そんな場面ばかりではないのだけれど、私の印象としては、軽やかな春風のような作品。


どこか余白があって、事細かに記さず、読み手に任せてくれるような、そんな作品が今は気に入っている。


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