妻とカブトムシと主夫

年長と年少の2人の子供は今年の夏
カブトムシを飼っていた。

とても大切に育てていて
保育園の友達のカブトムシは次々に亡くなる中
9月まで生き抜き
そして、一匹も欠けることなく
最後は自然へと帰した

そんな、大事に育てていた
そんな、大事にされていた
そんな、カブトムシ

虫かごで飼われていた彼らは
私が休職中に培った工作スキルの向上のおかげで
大きな水槽に蓋を作り
その水槽の中で元気に暮していた

しかし、水槽というのは空気の流れなどが虫かごよりいささか悪いようで
エアコンのない玄関に置いといたところ
暑すぎたのかかなり弱ってしまった

しかし、夏の暑さで私も弱っていた
休職して家にしかいないはずなのに
夏風邪をひいてしまった
熱は38度を越えて
もうフラフラである

そんな、弱った私に妻が
「ゼリー買ってこようか?」



感動した


今までになかったことだ。
看護師をしているが、私の病には比較的どころではなく
関心がなかったのにも関わらず
家のことなど一切やらなく
常にフラフラの私がやっていたのに
子供の保育園送迎も私がやっていたのに

私に
「ゼリー買ってこようか?」
なんて優しいんだ
感動した


「そうだね」
そう言った私に
妻は続けていった



「カブトムシ弱ってるから」



どうやら、昆虫ゼリーだったようだ


そして、その昆虫ゼリーは
私が買いに行った


ひと夏の思い出である

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