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続コンプレックス Vol.19

【E子さんとYママとの出会いについて】
(Vol.16-18について補足します)
ある時、東京からお越しのお母さんと娘さんの二人連れのお客様が3連泊されていた。
お母さんは高齢ではあるが、とてもお元気でそして品がある。
二人ともとても物静かであり、決して目立つことは無いのであるが
ボクは強く感じるものがあった。
言い方は良く無いが
あの方々はホンモノのお金持ちだと
強く感じたのである。

ホンモノのお金持ちとは、昨日今日急にお金持ちになったのでは無いという意味である。
コンプレックスの冒頭に書いたが、
ボクがホテルの世界に入ったのが昭和52年、
庶民がホテルを利用するようになり始めた、いわゆる過渡期である。

ボクはフェヤーモントでたくさんのホンモノのお金持ちを見てきたので
どのような特性があるのかを感覚で知っている。
物静かで目立たず、地味なのであるが、品がある…
とでも言おうか…
まあ、ボクだけが分かる世界かも知れない。

夕食の席にご挨拶に行くことにした。
「こんばんは。支配人の笹川と申します。ご利用いただきありがとうございます。東京からですか?」
「あらまあ、支配人さん、わさわざどうもすいません。私は東京なんですけど、娘はアメリカのロスなんですよ!ここのお宿に泊まる為に帰って来たんですよ!」
「それはそれはありがとうございます。ボクも東京のフェヤーモントで修行をしたのですが、もう九州が長くなりました。」
「あらあなた、フェヤーモントにいらしたの!
 素晴らしい!あなた、エリートね!」

と言われたのである。
やはりボクの目に狂いは無かった。
フェヤーモントの存在を知っていて、そこで働いていたボクをエリートと評してくれたのは、よほどフェヤーモントに詳しく無ければ出来ないこと。
あの古いホテルのことを知っていたとしても
エリートね!という言葉の中に
ボクは間違い無かった!と確信するものがあった。

娘さんがピアノをやる関係で
ピアニストの仲道郁代さんと親しいとのこと。
仲道郁代さんが妹さんと一緒にモデルとなり、
○ASOが紹介された婦人画報を見て知ったそうである。

何度もご利用いただくうちにボクはすっかり仲良くなり、
熊本空港よりも、福岡空港がいいですよ!ボク迎えに行きますから!
と、迎えに行き、そのまま博多ニューオータニの大観苑へ行き、
素菜湯麺とカニチャーハンを美味しくいただいた。
たまには、ニューオータニのタンメンが食べたくて仕方無かったのである。
勿論ボクがである。


そして、それからそのコースは定番となった。
ニューオータニではいつも3人とも素菜湯麺をオーダーし、
カニチャーハンを3人でシェアした。
カニチャーハンを食べながら
「ねえささぴぃ、麻布十番によく行く中華のお店があるんだけど、そこのカニチャーハンいくらすると思う?一人前4千円よ!4千円!信じられないでしょ!」
娘さんのE子さんが言うのだ…
「よ、4千円!チャーハンが!!それって凄いんですか?」
「普通よ!普通のカニチャーハン!」
ニューオータニの大観苑もいいお値段であるが(ちなみにタンメンは1600円くらい)カニチャーハンは2000円くらいなもんである。
東京は訳が分からないと思った。
「ねえママ!どこ行きたい?」
「ささぴぃにおまかせ!」
「E子さんは?」
「ささぴぃにおまかせ!」
「そっか、了解!」
というわけで、ホントあちこち出掛けた。
阿蘇噴火口、わいた山の裾野にあるカレー屋さんベアー、南小国のティールーム茶のこ、花公園、日田や大山にも行った。内牧のイマキン食堂だって行った。
ニューオータニは毎回行ったし、福岡のフレンチ「ジョルジュマルソー」にもよく行った。


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