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独立開業時の融資

士業は開業時のイニシャルコストがほぼないので開業しやすい。この点、美容室や歯医者、飲食店とは雲泥の差で、しかも仕入も在庫もない。大きな借入金の返済がないから廃業もしづらい。机一つで自宅で開業できて、これ以上リスクが低い商売はちょっとない。

その一方で、仕事を取るのが難しいという現実がある。通りかかりにのれんをくぐって「ちょっと社労士にでも依頼してくか」という人はいないからだ。

これらを踏まえて、個人的には開業時に(ちょっと)融資を受けておくのはアリだと思う。

融資を受けるメリット・デメリット

独立開業時に融資を受けるメリットは、手元資金を厚くすることにある。
設備資金はないか、あってもPCとか業務ソフトとか数十万単位なので、残りは運転資金ということになる。「運転資金」とか言うとちょっとかっこいいが、スタッフを雇用しているわけではないので自分の生活費だ。

要は、生活費が枯渇するまでの期間を、融資によって先延ばしにできることがメリットということになる。当たり前だが、生活費がなくなってキャッシングするくらいなら、事業資金で借りていた方が比にならないくらい安い。
それに加えて、新規開業時は借りやすい。比較参照する前期実績がないからだ。
デメリットらしいデメリットは思い浮かばないが、借入金なのでいずれは返す必要がある。世の中の社長は何千万も借り入れしているわけだが、このことを必要以上に気に病んでしまうようならデメリットになるかもしれない。

でもそれ言ったら住宅ローンも同じじゃない?

自分の場合

ということで、会社員を退職して独立するときに借り入れをした。

使ったのは埼玉県の制度融資である。今見たら「無担保・第三者保証人なし」と書いてあった。法人の場合だと代表者が連帯保証人になっていたわけだが、会社の破綻と同時に連帯保証人である社長も破綻してしまうので、それをやめよう(だから安心して開業してね!)というのが世の流れだ。

たしかこのリーフレットにも記載のある起業家育成資金で、7年1.3%くらいだったのではないかと思う。今は1.1%のようなので当時より金利は下がっている。据置6か月くらいしたと思う。
ただし制度融資はいわゆる「協会付」なので、金利とは別に信用保証協会に保証料を支払う必要があるし、保証協会がGOを出さなければ融資は受けられない。「信用保証協会って何?」という方は知識が不足しているので調べてほしい。ボクも最初は知らなかった。

開業時には120万くらい借りたのではないかと思う。これで部屋にエアコンをつけ、PCやプリンタなどを買った。これらは設備資金で、残りは運転資金である。
実は、このときに借りた某銀行にはかなりあからさまに軽視された。小口だし、若いし、うまくいくかも怪しいし、ということで当たり前かもしれない。このときに対応してくれた営業担当者の態度が悪かったので、返済が終わると同時に口座も解約してしまった。

その後、しばらくは売り上げを上げ、事務所を移転したりスタッフが入社するタイミングで他行で制度融資借り入れの申し込みをし、取引銀行と借入金額を増やし返済実績を重ねていった。その後に借入をするつもりがなければ別に取引銀行も借入金も増やしていく必要はないと思う。ウチの場合、今は3つの金融機関と取引している。

ちなみに今はもう制度融資を使うことはまずなく、信用保証協会の付かない、いわゆるプロパーでしか借り入れしていない。今取引のある3行ともプロパー融資を受けている。
保証協会を使わないのは保証料がもったいないというのと、いつか経営があやうくなってきて、ガツンと借りる必要性が出たときに保証協会の枠が空いていないと貸してもらえないかもしれないと思っているからだ。

なので「プロパーで、金利は他行をくぐる感じで・・・」と言われたときだけ借りるようにしている。

まとめ

開業時なのでそもそもそんなに多額は借りられない。返せなくなったら廃業し、就職して返済できる額だ。
心の安定を得るためにも、多少金利払ったとしてもちょっと生活費を確保していくのはアリではないだろうか。

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