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おはようから始まる毎朝に。

毎朝「おはよう」の挨拶を送ってくれる男友達がいる。

彼とは3月に出会って「よかったらライン教えて?」と声をかけられ、連絡先を交換した。

その後2か月は、数回ご機嫌伺いラインが来たくらいで、ほとんどやり取りをしなかった。

6月にアルバイト先に遊びに来てくれて、
少しづつラインをやり取りするようになった。

ラインが少し続くようになった7月のある日。

朝の挨拶は始まった。

「rieさん、おはよー」

最初は
『朝の挨拶だけのやり取りして楽しいのかな?』って感想しかなかった。

8月に入って食事に誘われて、食事に行ったけど特に口説かれるとかも何もなく・・・。

ただ、朝の挨拶に関しては
「俺ね、5人くらいかな?大切な人に『おはよう』のラインしてるんだ。」
「rieさんとも仲良くなりたいと思ったからラインしたんだよ」
と言っていた。

「ふーん。そうなんだー。」
私の感想は、それだけだったのでそう答えた。

そして、それからも毎日、朝の挨拶は続いた。

平日も休日も。
1日も欠くことなく、1か月が経った。

私は次第に、不思議な気持ちになってきた。

『普通、仲良くなりたいって理由だけで、
 毎日ルーティーンのように連絡する?』

そう。私は自分の意志とは関係なく、
彼のルーティーンの中に組み込まれたのだ。

私はちょっと怖くなった。

人は、調子がいい日も、悪い日もあり
飲みすぎた次の日や、予定に追われる朝もあるはずだ。

それなのに、毎朝毎朝、同じテンションで同じ挨拶が来る。

なんなら、ちょっとの変化をつけて、
趣向をこらした挨拶が来る。

『なにこれ、怖い』

怖くなったので彼にラインしてみた。

「ねぇ、この朝の挨拶って…いつまで続くの?」

「あ!恥ずかしい!」

「え!どういうこと??」

「ひとりよがりで送ってたから恥ずかしい!」

質問に全然答えてないんですけど・・・
回答、可愛すぎかよ・・・。

「多分、嫌われるまでするから(笑)」と彼。

「ふーん。逆に嫌いになったらどうするの?」

「いや、俺は人を嫌いにならないんです
 なんでかわからないけど、嫌いにならない」

私は、その答えを聞いて、ほっとした。

たった1か月で、彼の挨拶は私のルーティーンにも組み込まれ
毎朝、彼からのラインを楽しみにいている私がいた。

私はいつか、
彼の挨拶がなくなる日が怖くなったのだ。

いつまでこの挨拶が続くのかは、私にも彼にもわからない。
彼の答えを聞いて、ほっとした後、私はとても寂しくなった。

出会ったものはいつか別れ、
始まったものはいつか終わる。

それがなるべく長く続くように、
おはようから始まる毎朝を大切にしよう。
そう思った。





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