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刑法#30 強盗罪①

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強盗罪の要件


①暴行や脅迫が財物の強取を目的としている
②暴行や脅迫の存在
③財物の強取
※強取について
犯人が財物を取得したことを被害者が知らない場合にも強取があったといえる
※財物の強盗罪が成立する場合は詐欺罪が成立する余地はない

ケーススタディ
①強取を被害者が知らない場合
財物の取得のため脅迫して、その反抗を抑制したところ、被害者は畏怖により財布を落としてそれを犯人に奪われたことに気がつかなかった。→強盗罪は成立
 なお、脅迫して被害者が逃げてその時落ちた財布を犯人が拾った場合は因果関係がないため強盗と評価されない。

②強盗が成立する脅迫をしたが相手は武術などの達人であり、おとなしく財物を犯人に渡した場合→構成要件は満たすため、もちろん強盗罪成立。

③先に暴行を加えて、その機会に乗じて、金員を奪う→暴行罪+窃盗罪

④脅迫相手と強盗被害者が違う
→強盗罪成立

⑤タクシーに乗車後に代金を踏み倒すために運転手に暴行→二項強盗罪 なお、詐欺罪とは違い、財産的処分は必要なし

事後強盗罪


窃盗を犯したという身分を前提にこれを取り返されたり、逮捕を免れ、罪跡を隠蔽するために暴行や脅迫をしたときの犯罪
(刑法238条)
→身分犯であるため、窃盗の実行着手が前提
→目的犯であるため、財物の取り返し、逮捕免れ、罪跡隠滅の暴行や脅迫であることを要する。
→なお、未遂罪も予備罪も成立する。
→時間や場所はある程度の連続性や因果関係を要する
→窃盗のあと強盗を働いた場合、事後強盗罪ではなく、強盗一罪である。

演習問題

次の設問に○か✕かで回答せよ。

①AはBから財物を強取するつもりでBを脅迫し、その反抗を抑圧したところ、Bが所持していた鞄から財布を落としたので、その財布を奪ったが、Bは上記脅迫により畏怖していたため、財布を奪われたことに気づかなかった。Aには強盗既遂罪は成立しない。

→✕ 犯人が財物を取得したことを被害者が知らない場合も強取があったといえる。

②AはBに殴る蹴るの暴行を加えた。その結果Bが失神したので、この機会に金品を奪おうと考えて財布を抜き取った。Aには強盗罪が成立する。

→✕ Aの暴行や脅迫は強盗を目的としてはいないため、暴行罪(または傷害罪)と窃盗罪の併合罪となる。

③Aは金品を奪おうと考えて帰宅途中のBの背後から歩いて近づき、Bが持っていた手提げ鞄をつかんで引っ張ったところ、Bがすぐにカバンから手を離したので、それをもって逃走した。この場合、Aには強盗罪が成立する。

→✕ ひったくりであり窃盗罪となる。暴行がないため、強盗罪は成立しない。

④Aは金品を奪う目的でBにナイフを突き付けて金品を要求したところ、驚いたBは反射的に逃げ出してポケットから財布を落としたが、それに気づかないまま逃走した。Bの姿が見えなくなった後にAは財布が路上に落ちていることに気づいてBが落としたものと思ってこれを奪った。Aには強盗罪が成立する。

→✕ 暴行脅迫と財物取得に因果関係がないため、強盗未遂となる。

⑤Aは無賃乗車をするつもりでタクシーに乗車して自宅付近でタクシーを停めると料金を支払わずに車外に出たが、運転手であるBから賃料の支払いを要求されたため、Bを殴り倒して逃走した。この場合、Aには事後強盗罪が成立する。

→✕ 事後強盗は窃盗の身分犯であり、詐欺罪に成立はしない。

【コラム 詐欺か強盗か】
 タクシーに乗車した後に代金を踏み倒そうと思い立ち目的地で運転手の首を絞めて逃走したなら二項強盗が成立する。この場合、タクシー運転手の財産的処分行為は必要がない。
 上記設問は無賃乗車をするつもりでタクシー乗車をしたため詐欺罪がまず成立し、運転手から料金要求があったため暴行に至ったにすぎず、その暴行は強盗を目的としてはいない。

⑥Aは窃盗目的で甲宅に侵入した。しかし、すぐに甲に見つかったので暴行を加え反抗を抑圧して逃げた。事後強盗罪が成立する。

→✕ 窃盗の実行に着手していないため、事後強盗が成立する身分そのものを取得していない。

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