民法#33 時効④
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消滅時効とは債権を一定期間行使しないときは消滅すること。さて、行使とは下記の場合はどのように扱われるか。
債権者代位権行使と時効
→債権者代位権とは、無資力の債務者が第三債務者への権利行使をせず、時効が完成してしまいそうな時に債権者が被保全債権(債権者の債務者への債権)を保全するために債務者の第三債務者への権利を代わりに行使すること。
→この場合、被保全債権を前提とはしているが、行使の目的は債務者の第三債務者への債権なので、こちらには時効の更新がかかるが、被保全債権には時効更新とはならない。
※債権者代位権を裁判上行使した場合
→詐害行為取消権にも同じことが作用する
詐害行為取消権は債務者が債権者の被保全債権を害することを知りつつ、無資力であるにもかかわらず、贈与や弁済などの法律行為をした場合に、債権者が取り消すことができるもの。裁判上の請求のみ認められる。
未成年者や成年被後見人と時効
→時効完成前6ヶ月以内に、未成年者や成年被後見人に法定代理人がいない場合は、それらの者が行為能力者となるか、法定代理人が就職して6ヶ月を経過するまで時効は完成しない。
→被保佐人や被補助人はこの限りではない。
夫婦間債権と時効
→夫婦間の債権においては、通常、婚姻中は裁判沙汰になることは考えられないため、婚姻の解消から6ヶ月を経過するまでは時効は完成しない。
演習問題
次の設問に◯か✕かで回答せよ。
①引き渡し請求に対して留置権の抗弁をした場合、消滅時効は完成猶予される。
→◯
②催告による完成猶予がされている時に協議による合意がなされる場合、さらに完成猶予が伸長する。
→✕ さらに時効が完成猶予されることはない。なお、これは協議による合意があって消滅時効が完成猶予している間に催告がなされても同じである。
③協議をする合意により消滅時効の完成猶予中に当事者が6ヶ月を越えない時に協議の続行を拒絶する書面を通知した場合、6ヶ月時効は完成猶予される。
→◯
④催告後6ヶ月以内に裁判上の請求をした場合、時効の完成猶予の効力は催告の時から生じる。
→◯
⑤乙が甲に対する債務につきその利息を支払ったときはその債権の消滅時効は更新する。
→◯ 債務の一部または全部を履行すると債務の承認があったとみなされる。利息も含む。
⑥夫婦の一方がもう一方に対して有する権利は離婚後6ヶ月が経過するまでは時効が更新しない。
→◯
⑦相続財産に関しては、相続人の確定や管理者の選定、破産開始手続の決定から6ヶ月経過するまでは時効の完成が猶予される。
→◯
⑧天災により裁判上の請求などができない場合、その天災が消滅してから3ヶ月が経過するまでは時効が完成しない。
→◯
⑨質権は被担保債権とは別個に時効により消滅しないが、地上権は20年間行使しないと時効により消滅する。
→◯ 地上権は、債権以外の財産権である。
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