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憲法#59 統治三権判例まとめ

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統治三権の判例

議員の免責特権と国家賠償(H9.9.9)
→衆議院議員がある病院の院長の名誉を毀損。その後、院長が自殺して遺族が国家議員個人と国を相手取り損害賠償請求をした。
→基本的に国会の質疑に関しては議員は広範な裁量があるため、特別な事情がなければ国家賠償責任はない。
※特別の事情とは、職務以外の言動で、違法不当なものや明らかな虚偽など。ちなみに、野次や私語は免責特権により保護されない。

苫米地事件
→憲法7条に基づく解散は違憲であり、かつ、7条解散に必要な助言と承認の閣議が全員一致によってなされていないという瑕疵があるため無効と元議員が主張。
※閣議は全員一致でなすのが慣習である。ちなみに、閣議については司法審査できないとされる。
→衆議院の解散は高度の政治性を有するため、司法判断できてもしないとした。
※統治行為論

なお、統治行為論はすることができるというのが通説ではあるが、それを根拠づける学説は諸説ある。
→自制説 裁判所が政治的紛争にまきこまれないために司法判断を自制できるとする説。
→内在的制約説 高度の政治性を有する行為は必ずしも司法判断にはなじまないものであり、そういうものは政治サイドに任せるべきという通説。

砂川事件
→9条による日米安保条約の違憲が争われた。一審では違憲判決がでたが、跳躍上告をして統治行為論で「一見して明白に違憲無効でない」のであれば司法審査に及ばないとした。条件をつけているので、厳密な意味での統治行為論ではないとも評される。

部分社会の法理
→地方議会(S35.10.19)
除名は一般市民法秩序と直接関わる重大事項なので、司法審査に及ぶ。出席停止はかつては司法審査に及ばないとしたが、令和に判例がかわっていることに注意。つまり、出席停止でも司法審査が及ぶ。
→共産党袴田事件
政党内での懲戒処分は除名であっても、一般市民法秩序と直接関わることがない限り司法審査に及ばない。規定の手続きなどをふまえたかが考慮される。
→富山大学単位不認定事件
国立大学の単位認定については司法審査が及ばないが、専攻科終了においては及ぶ。

警察法改正無効事件
→国会の議事手続きについては議院の自律権の問題であり、司法審査が及ばない。

司法とは具体的な争訟に法律を用いて裁定し終局的に解決する国家作用である。
→具体的な争訟とは
①当事者の具体的な権利義務や法的な関係の存否についての訴訟であり
②法律を適用して終局的に解決できるもの
である。

→板まんだら事件
①は満たすが②は満たさない。宗教物について法律をあてはめて判断できない。

→技術士国家試験事件
学術的論争を裁判所が判断できない。

→警察予備隊違憲訴訟
具体的な事件がないのに憲法判断はできない。
※現行憲法下における違憲審査制度は付随的審査制とされる。

→在宅投票制度事件(S60.11.21)
身体障害者の有権者が当該制度の廃止により投票ができなくなり、国賠請求をした事件。
国会の不作為も含む立法行為について、その内容と行為は区別される。内容が違憲でありそうでも直ちにその立法行為が違憲となるわけではない。立法行為が違憲となるのは憲法の一義的文言に反して立法するようや想定しがたい例外的な場合に国賠請求が認容される。

→選挙権行使の機会と立法不作為(H18.7.13)
重度の精神障害のため投票にいけなかった有権者が選挙権行使のための議会を提供する立法の不作為について国賠請求した事件。
憲法の一義的文言に反して立法不作為となっている例外的な場合ではないので国賠請求できない。

→郵便法違憲訴訟
旧郵便法は国賠免責が広範だったが、違憲判決がでた。
①書留郵便は郵便従業員の故意過失それぞれ免責されていた→故意と重過失には国賠請求を認容するよう違憲判決
②特別送達郵便は従業員の故意重過失では国賠請求が認容されていたが、軽過失につき免責→特別送達郵便の重要さと特殊性のため軽過失でも国賠請求を認容するように違憲判決。

強制調停違憲決定事件(S35.7.6)
※訴訟 公開 対審 判決 が原則
非訟事件 非公開 非対審 決定 が特徴
純然たる訴訟事件を非訟事件で処理した。
→違憲判決
→夫婦同居審判は非訟事件で扱ってよい。
(S40.6.30)

憲法36条は裁判所以外の機関で裁判されないことを保証したものであり、裁判所法の具体的な管轄裁判所で裁判されることを保証したものでない(S24.3.23)
→遺産分割に関する審判があっても終局的に権利義務を確定させるには対審による判決がされる必要がある(S41.3.2)

演習問題

次の設問に◯か✕かで答えよ。

①衆議院議員が、議員での質疑応答においてとある民間病院の院長の名誉を棄損するに至り、その院長は自殺した。このような場合は、議院での発言に原則的に免責特権があるとしても、遺族は国家賠償請求を必ずすることができる。

→✕ 原則的に免責特権により国家賠償請求の対象にはならないが、特別の事情があれば認められる場合がある。

②なぜ統治行為論が認められるかは、裁判所が政治に巻き込まれないようにするという説と、内在的にそれが可能であるとする説がある。

→◯ 前者を自制説、後者を内在的制約説という。

③地方議会の懲戒処分において除名は司法審査がおよぶが、出席停止には部分社会の法理としておよばないとされた。しかし、令和において出席停止においても司法判断がされるとする判例変更があった。

→◯

④郵便法違憲訴訟において書留郵便につき、郵便配達員の故意過失を問わず、国賠請求などが免責されていたが、軽過失以外には国賠請求が認められることになった。
※郵政は当時は民営化されていない。

→◯ なお、特別送達については軽過失のみ免責されていたが、すべて免責されなくなった。

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