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民法#34 時効⑤

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時効の援用


→時効は要件をみたせば効力が自動的に発生するのではなくて、それを行使することを表明しなくてはならない。それを援用という。
「法は権利の上に眠れる者を保護せず」

→時効は停止条件であると考えられており、援用することにより、その効果が発生する。

援用できる者


→当事者
→承継人
※被相続人が占有を継続した時に時効取得した場合、相続人はその相続分を限度に時効を援用することができる。
→保証人
→物上保証人
→抵当不動産の第三取得者
→詐害行為取消権の受益者

援用できない者


→後順位抵当権者が先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用できない。
→一般債権者が他の債権者の債権の消滅時効を援用できない。
※ただし、債務者が無資力の場合は債権者代位権として時効援用を代理行使することはできる。
→建物の賃借人は当該建物の賃貸人による当該建物の敷地の取得時効を援用することはできない。
※賃借人は賃貸人が敷地を時効取得すると、賃借権の喪失を防ぐことができるのを期待しているわけである。

時効の援用に関する裁判例


→後順位抵当権者や第三取得者は、売買予約にもとづく所有権移転登記請求権仮登記に関し予約完結権の消滅時効の援用ができる。
→仮登記担保権の被担保債権について消滅時効の援用ができる。

時効の完成猶予と更新の相対効


→債権者と債務者、保証人がある場合、債務者と債権者の契約と債権者と保証人の契約はべつものであり、どちらかがその時効が完成猶予や更新があっても、もうひとつに影響があるわけではない。これを相対的効力という。

演習問題

次の設問に◯か✕かで回答せよ。

①農地を転用目的で買い受けた者は、その引渡しを受けたときであっても、農地法所定の許可を得なければ、所有の意思のある占有をはじめたものとは言えない。

→✕ 農地法所定の許可を得ずとも、特段の事情がない限り、代金の支払いをして農地の引き渡しを受けたときから、所有の意思のある占有を始めたものといえる。最高裁判決H13.10.26

②道路のような公共用の財産であっても時効取得することができる。

→◯ 公共用財産でも公用の廃止があれば時効取得できる。公用の廃止は明示でなくとも黙示でもよい。

③後順位抵当権者は先順位抵当権者の所有権移転仮登記の予約完結権の消滅時効を援用することができる。

→◯

④権利能力なき社団が不動産を占有し、法人格を取得した後もその占有を継続したときは、占有の始点を法人格取得以前の占有開始時期と、法人格を取得したときから選ぶことができる。

→◯ 最高裁判決H1.12.22

⑤債権100万につき強制執行がされた場合、債権の時効は完成猶予される。債権額のうち70万満足を受けたとするなら残りの30万につき、時効が更新する。

→◯

⑥時効の完成を知らずに権利を承認した債務者は、消滅時効を援用することはできないが、その後、再び時効が完成したときら、消滅時効を援用することができる。

→◯ 最高裁判決S45.5.21

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