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憲法#64 テーマ講義①

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二重の基準論



精神的自由と経済的自由における規制を憲法判断する時、前者はより厳格に、後者はより緩やかに判断するアメリカの法理。日本では最高裁判決で採用されず、「比較衡量の法理」が用いられることが多い。
→これは精神的自由と経済的自由の価値の高低のためではなく、例えば精神的自由が侵害されるような規制がされた時、自己統治の自由などが奪われている状況である場合があり、社会的政治的責任を追及する形で精神的自由を回復することは困難であることが考えられる。その場合は、司法権が権利回復の最後の砦となるため、合憲性の推定をなくし、厳密な違憲審査が求められる。
 一方で、経済的自由が侵害されるような規制は司法権でなく、選挙で議員を落選させるなど、社会的に追及が可能である。その場合において、民主的プロセスにより選ばれた議員による立法を裁判所はできるだけ尊重するように求められるのである。
 ※合憲性の推定、合憲限定解釈

【コラム 司法積極主義と消極主義】
前者は積極的に裁判所は違憲審査をするべきとされ、後者はしないようにするというもの。日本では後者が通説である。
合憲限定解釈においては、憲法解釈自体はしている。司法消極主義では、法令の解釈だけで憲法判断しないでよいのであればそうするべきとされる。民主的プロセスを経ている議会への配慮である。

精神的自由への違憲審査基準


→二重の基準論では厳密な基準が用いられるべきとされる。

1.事前抑制の法理




→基本的に事前抑制は禁止するという法理。
→検閲は絶対的に禁止である。
検閲とは①行政権が主体となり②表現物を対象とし③発表前に④発表を禁止するために⑤一般的網羅的にする事前抑制である。
→事前差止めは厳密な要件により認めらる場合がある。①公権力が主体となり(つまり裁判所も含まれる)②内容が真実ではない、または公益目的ではなく③被害が甚大で回復困難であることが認められる場合にする事前の差止めである。
※北方ジャーナル事件

【コラム 石に泳ぐ魚事件】
「石に泳ぐ魚」という小説のモデルとなった人物が人格権をもとに差止め請求をした問題。こちらは事前ではなく事後の問題である。公的な人物ではないので人格権に基づき差止めが認められた。

2.明確性の原則


→法文は明確でなくてはならないという原則。31条に基づく罪刑法定主義の派生原理の一つでもある。つまり、明文規定がなければ、慣習などで刑事事件を裁くことはできない。ただし、明文があるならその限りではない。
※徳島県条例事件


→法規のあいまいな規定は一般的な判断力を有する者を基準とする。

3.明白かつ緊急の危険

4.LRAの基準



経済的自由も警察・消極目的規制と、社会政策的・積極目的規制により、憲法判断の厳格さが異なる。
→警察・消極目的規制は厳格な合理性の基準
その規制をより緩やかな方法で目的を達成できるのであればそうするべきという違憲審査基準。
※薬局距離規制事件
→社会政策的・積極目的規制は明白性の原則で違憲判断される。その規制が憲法違反であることが明白でない限り、違憲ではないとする。

【コラム 合理的関連性の基準】
戸別訪問の禁止について、裁判所は合理的関連性の基準をもちだしている。※比較衡量もだしている。選挙の公正という法益は禁止により失われる法益よりも大きいとする。また、選挙の公正と戸別訪問の間には合理的関連性があるとする。

なお、LRAの基準を用いると、時間や方法を規制したり、取り締まりを強化したり、もっと「より制限的でない代わりの方法」があるのではないか、故に違憲だと考えられ、これに基づく批判も本判決は多い。

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