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【ピアノ初心者の30代サラリーマンがコンクールに出場するまで】⑦

前回の続き。


人生初の発表会本番まで2週間。曲目はベートーヴェンの月光第一楽章。
しかし受講出来るレッスンは1回のみ…

1回のレッスンで、細かいミスを修正。
殆どピアノかピアニッシモで起伏が無く、細かい表現を盛り込むことは今更難しい。終始静かな曲なので、厳かな?神秘的な?雰囲気を出せるように、との事。

家ではミス無く弾けることを目標に練習したが、雰囲気まで気を配る余裕は無し。というより無理(笑)

あっという間に2週間が過ぎ、本番当日。


会場はホールではなく小さなサロンで、中央にスタンウェイのピアノがあり、割と近い距離に観客が並ぶ。

リハーサルが終わり、自分の出番は2番目。
ステージ裏ではガチガチに緊張しており、「出来る出来る」とひたすら心の中で繰り返していた。

そして本番。

リハ時に設置された椅子は20人分くらいで、先生と生徒とその家族くらいかと思っていたが、いざフロアに出ると何と会場の後ろまで人がずらり。
後から知ったが一般の人もお金払って入場OKだったらしい。

人の多さ(といっても50人くらい?)を目の当たりにして、余計に緊張。
お辞儀、着席して最初の「ソドミ~」までかなり時間を置いて演奏を始めたのを覚えている。

深呼吸をして弾き始めて、気がついたら終わっていた。
あっという間の約6分の演奏。やりきった。

当時の様子。動画が無いのが残念…

ミスはあったものの、弾き直したり流れを切るような事は無かった。
何と言っても楽譜が読めず暗譜なので、いざミスっても楽譜を見てパッと再開出来る自信も無かったが、杞憂に終わる。ある意味賭けのようなもの(笑)

演奏を終えて席に戻ると、隣にいた一般客?から「お疲れ様。感動したよ。」と、何とも嬉しいお言葉。

演奏会後も、「楽譜読めないのにどうやって練習したん?」「同じく初心者で月光を練習中やけど教えて欲しい。」とか、色んな人が話しかけてくれる。

上手い下手は置いといて、誰かに一人にでも伝わったのであれば、こんなに嬉しいことは無い。
音楽って良いな。ピアノ始めて良かった、と思えた幸せな時間だった。


演奏会は約2年前。忘れないようにと、今でもたまに弾いている。

絶対無理やけど、死ぬまでに第三楽章まで通しで弾けたら良いな。

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