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ドイツの2月

2月というのは疲れる月だ。疲れているのは私の胃腸だけではない。職場の保育園では感染症胃腸炎が流行って、子供だけでなく保育士もダウン。「今日は誰々が来ない!人が足りない!ひー!」となっている。例にもれず、うちの子供も先週熱を出した。私もなんだか調子が出ない。全ての原因はこの アップダウンの激しい気温の変化にあるに違いない。この間太陽がサンサンと照って「もう春がきたんだなぁ。」と思わせておいて、今日は雪が降りやがった。積もってんじゃねーか。マイナスじゃねーか。しかし昼になると、あっという間に雪は溶け、空気は冷たいけれど日がさんさんと照っている。春と冬が午前と午後で入れ替わるような、体に優しくない月だ。

今月はバレンタインがあったはずだが、てんで記憶がない。スーパーに、いつもはないチョコのスタンドが立っていたぐらいだ。どう考えても全然盛り上がってないぞ、この国では。ネットの記事には40%のドイツ人がバレンタインを特別な日と見なしておらず、75%の人が、愛とは関係ない商業的なお祝いの日と見なしているそうだ。確かにその通り!
その昔、 日本語を勉強しているドイツ人の女の子がバレンタインにクッキーを焼くと言うので、一緒に作ったことがあった。いっぱいできたので、知り合いの日本語学科の男の子にあげたら、なんだか思い詰めたような顔で「今日はバレンタインデーだよね。。日本では、女の子が好きな男の子へプレゼントするんだよね。。」と言われてしまった。 ごめん、ただ余っただけだったんだ。私の心はもうすでにドイツ人化していた。

今月は保育園でファッシング(Fasching)があった。謝肉祭と訳されるのだけど、その日、子供達は仮装して保育園に来るから、私は仮装パーティーと呼んでいる。保護者が持ってきた果物や甘いものがたくさんあって、ご飯なんて入らない。催し物では定番であるフェイスペインティングで、息子は真っ白の顔に口から赤い血を垂らしたドラキュラ顔になって帰ってきた。日本ではこんなに顔に塗りたくらないぞ。

キリストが復活するイースターまでの40日間は、断食期間(Fastenzeit)と呼ばれる。そもそもこの時期は食べ物が少なかったので、昔々は肉や卵、乳製品を摂取しないという慣習があったそうだ。その前にたらふく食べておこうという謝肉祭が、今では仮装パーティーと、甘いジャム入り揚げパンを食べるという伝統になったのだ。

このジャム入り揚げパンは、ものすごーく甘い。パンの上にも粉砂糖とかチョコレートなどが掛かっているので、背徳感を感じられるぐらいカロリーボンバーだ。しかしパン屋でいつでも買える。ベルリンではファンクーヘン(Pfannkuchen)と言うが、正式にはベルリーナー・ファンクーヘン(Berliner Pfannkuchen)つまり、ベルリンのパンケーキという名前である。

保育園でもファンクヘーンがおやつに出てきた。疲れた胃腸も、甘いものの魔力でググッと元気になる。指についた粉砂糖をぺろぺろ舐めるのもまた楽しい。


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