165 家族が認知症になっても、自我を捨てれば問題ない

 当たり前のことをしていれば、全部解決なんです。ある人が私に、「認知症になった家族が自分のことを忘れているんだ。『あんた誰?』と言われるんだ」とこぼすんです。私は、「それでいいじゃないですか。『隣の家からお見舞いに来たおじさんだよ』と言ってあげたらどうですか?」と答えたんです。楽しいですよ、そうしたら。認知症の人だって、看護師とかそういう人たちの顔はなんとなく憶えていますけど、 家族は毎日行くわけでもないんだから「知らない人が来ているぞ」と思うのは当たり前なんです。自分の親にそんなことを言われたら、息子としてはショックかもしれないけど、でもそれは「息子」という自我があるからなんですね。そこで「隣の家から来たなんとかです」と言えば、自分でも楽しいし、「ただのおじさんなんだけど、面倒見てあげてもいい?」と聞いたりすれば、何のこともないのです。
『一瞬で心を磨くブッダの教え』第3章 社会で成功するために《親子関係》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【ブッダの歩き方 立松和平氏との共著 (2006年) p218】

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