正義がこわい

私にとって正義というものは酷く恐ろしい

正義というものはこの世で最も悪辣な兵器だ。
正義というものにはそもそも実態が無い。悪とは別側面の正義であり私の貴方の信じる正義というものは、他側面から見る悪なのだ。それが酷く恐ろしい。
古来から正義は掲げられてきた。
数多の戦争であちらの国もそちらの国もそれぞれ全く違う正義を掲げ、盲信し、それの為に命を落とした。他者を踏み躙った。今正義だと思われているものは勝者の思想達であり敗者の思想は悪だと切り捨てられ蔑まれていく。しかしそれが真実なのか私にはわからない。勝ち残った正義は本当に正しいと言えるのか?正当化するための嘘ではないとどうして言えるのだろう。わからない。正しいものを信じられない時人はどうしたら良い?何が正しい
のかもわからない私はどうすればいいのだ
現代でも正義は跋扈している。インターネットでは日々様々な正義が提示され否定され多数に認知され信じられたそれは相反するものを叩き潰し吊し上げ火刑に処しその炎でマシュマロを焼いている。甘さを噛み締めて悦に浸っている。その正義が本当に正しいとどうして言えるのだろう?それでも正義というものは原則的に正しくどんな暴力的な言葉も行動も正義という名の下には正当化され行動を容易にする。人は獣になる。
私は獣になりたくない。正義という餌にやみつきになって敵とみなしたものに所構わず噛み付く獣になりたくない。正義という病を媒介する獣になりたくない。
いい人になりたい。やさしい人になりたい。そのなりたいものですら私の信奉する正義でそれは誰かにとって悪かもしれなくて私はどうすれば良いのかわからない!怖い!そもそも私は獣になってしまうのに理性を失って悪と定義したものに噛みついてしまうのにそれを乗り越えた先にあるとする理想さえ紛い物かもしれない時私はどうしたらいい!怖い頭が締め付けられる
それでは何に縋れば良いんだろう。神か。でも神の使徒を名乗った者たちは他者を征服し土地を蹂躙し異教徒というレッテルを貼った者たちを殺した。彼らの宗教を殺した。それは私には悪に見える!じゃあ神だって信じられない!それは悪かもしれない!それじゃあどうすればいい?私は!
人間が獣などとは違うという言説に虫唾が走る。こんな理性を失って獲物を貪る愚かしい獣たちを他と違うとどうして言えよう。これが私の信じる正義なのでは無いだろうか。それを信じさせてくれる物が欲しい。人間の認知を存在を獣に落としてくれる者が欲しい。人間より強大で、偉大で、恐ろしくて、美しい純然たる動物的な捕食者が欲しい。ただ怯え命を守ることだけを考える弱々しい動物でありたい。どうか、どうか。私の神様。

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