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理系高校生の読書語り#2『体はゆく』

最初の駄話

 大分間が空いてしまいました。忘れてたわけじゃないんです。面倒なんです。読み返すのが。読書好きの人から袋叩きにされそうだけど許してほしい。だって読んだの2月とかだもん。内容も結構忘れてたので読み返しました。


 でも本当に読み返してよかったと思った。やっぱりこの本めちゃくちゃ面白いんだ。

本の紹介

 さて、今回の本は『体はゆく』。美学者伊藤亜紗さんの著書でございます。


 この本は、"いんよう!"というPodcast番組で紹介されていたのをきっかけに購入しました。要はお勧めされた本をここでお勧めしている。


 筆者の伊藤亜紗さんがいろんな科学者の先生の元へお話を聞きに行く、という形ではありますが、インタビュー形式ではありません。伊藤亜紗さんが素晴らしい文体でもって超わかりやすくまとめてくれています。


 この本ではテーマがひとつ。「人間の体」について語った本となっています。


 タイトルを再喝します。「体はゆく」。体はゆくんです。この本では、"人の体は人の意識を超えて動いているのだ"という事実がいくつもの観点から実証されています。「体」は心を置いて「ゆく」とこういうことです。


 1例について。「バーチャルのしっぽを振る」研究をした牛場先生のお話。


 牛場先生は実験の中で、何人かの被験者にディスプレイに映されたしっぽを振ってもらうという試みを行いました。被験者の頭にヘッドギアのような物をつけて、そこで脳波を観測し、決まった脳の領域が活性化するとしっぽが動くというもの。


 もちろん最初は皆どうすればしっぽが動くのかわからないので、試行錯誤を重ねます。何度やっても全然動かない人もいる。まぐれで動くと、皆その方法を伝え合います。


 そこで被験者は「お尻に力を入れると尻尾が動く」みたいなことを発見する。そして意識的に尻尾を動かすことができるようになります。しかしここで終わらずさらに実験は続きます。


 そして、尻尾を動かすことに慣れると、「尻尾を動かそう」と意識しなくても、ふわっと尻尾が動くようになるんだそう。体が意識を超えた瞬間というか、たとえ人体に付いていないものでも、慣れてしまえば「頭で考えなくても動かせる」ということ。読んだ時すげー、と感服しました。やってみたい、そのバーチャル尻尾振り。


 他にも様々な先生が魅力的なお話を聞かせてくれる本書は、理工書の中では自分の一番のお気に入りかもしれない。なにしろ読みやすいし、人体の面白さがじっくり伝わってくる。
 医工学や脳科学の分野に興味がある人にとっては高校生だろうがドンピシャに刺さる本だと思います。すごい。

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 はい、大分長くなりましたが、この辺で。また読書したら感想上げよう。手を動かして文章書くのは楽しいね。しかし次はいつになることやら。

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