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背中合わせの人形

友人のTから聞いた話。Tの母親は東北出身で、実家には一対の女の子の人形が置いてある。片方は立っており、もう片方は座っている。Tが子供の頃は、いつ見てもこの人形達は背中を合わせる様にして、互いにそっぽを向く形で置かれていたそうだ。一度も同じ方向を向いている姿を見たことがない。母親や祖母に理由を聞いてみると、何度も同じ方向を向くように置いても、いつの間にか背中合わせになってしまうのだという。実はこの一対の人形、立っている方を姉、座っている方を妹というように、子供の頃のTの母親と母親の姉それぞれに見立てて買った人形なのだそうだ。当時は背中合わせになるという現象も無かったらしい。しかし、2人が大人になり姉妹の関係がとても悪くなった時期が有ったそうだ。それに呼応してかは分からないが、いつの間にか姉妹に見立てて作った人形もそっぽを向く様になってしまったのだそうだ。

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