見出し画像

「科研費が余ったから海外に行く」と言った大学教員

研究者の集まりに出たとき一人の男性が言いました。「科研費が余ったから海外に行って使ってくる」と。国立大学の若い准教授です。「えっ?」と思いました。海外で調査をするということらしいですが、お金が余ったから科研費を使うってどういういこと?

科研費には国の税金が使われています。研究のために必要だから配布されるものです。必要ないなら返還すべきでしょうが、それができないそうです。「お金を余らせないために使う」なんて。納得しない国民は多いでしょうね。

「予算は余らせず使い切る」これは社会では一般的なことのようです。科研費についても対象研究の最終年度で使い切ることが原則とされています。だから余りそうになると必要のない物品や書籍,文具などを購入し予算をゼロにすることが広く行われています。使い切らないと理由書を書かなければなりませんし、その後の研究費が減らされる可能性もあるからです。だから研究者は残金をゼロにするための工夫をします。研究そのものではなく予算を消化するために頭を悩ませ、時間と労力を費やすなんて本末転倒ではないでしょうか。

研究にはお金がかかりますから研究者にとって科研費は貴重な研究資金です。でも余ることだってあるでしょう。予定より少ないお金で成果を出せたのであればそれはそれで素晴らしいことだと思います。そもそも予算きっちりで研究を終えるという方が不自然に感じます。獲得した予算は使い切らなければいけないというのは不合理ではないでしょうか。

科研費の使い方には課題がたくさんあるように思えます。研究者による不正も生じています。研究に真摯に取り組む研究者のためにも制度の改善が必要だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?