【インドニュース】なぜソニーの100億ドルの合併は失敗したのか
こんばんは!
昨日、チャイブレイクで載せたNashikの記事がNote公式の海外旅行 記事まとめに掲載いただき、1日で200ビュー以上増加し、いろいろな人に見てもらい大変嬉しかった。
今後も皆さんに楽しんでもらえる記事を書けるよう、いろいろな角度からインドの情報を紹介していきたいと思う。
ということで、本日は、ソニーとインド大手メディアZee Entertainment Enterprises Ltd(今後はZEELと表記)との合併計画の中止のニュースについてだ。
2021年12月21日に合併に関する確定契約を締結したソニーだったが、2年間と1か月の延長の有効期限を、2024年1月21日に迎え、タイムアップとなった。
インド最大のメディア企業になるという壮大な計画が、なぜ頓挫してしまったのか。
他のメディアでは取り上げられないようなインドの「深い」ニュース記事を取り上げ、「リアルなインド」を皆さんに紹介していく。
皆さんの意見があったら、ぜひコメントで教えてほしい。
インドのOTT(注1)市場
marketfeedによると、契約者ベースではDisney+ Hotstarが4,290万人で首位、次にAmazon Primeが2,100万人、Sony Livが1,200万人、Zee5が750万人、Netflix Indiaが550万人と続く。
仮に契約者数だけでいうと、Sony-Zeeが合併が完了した場合は、Amazon Primeにあと一歩及ばないものの、150万人差まで追走することができた計算になるが、
当初はReliance Industries所有のViacom18との合併交渉が進行中のDisney Star(Disney+ Hotstarを所有)に続く、インド最大のメディア会社になることを計画していた。
(注1)OTT(Over-The-Top):動画配信、SNS、音声通話等のマルチメディアをインターネットを介して提供するサービス。
誰がCEOになるか
計画がまとまらなかった理由は、合併後の人事案で双方が合意することができなかったためだ。
合併後の新会社の最高経営責任者(CEO)をZEELの現CEOのPunit Goenka氏にするという案で進んできたものの、ソニー側が難色を示し、結局この人事が最後まで揉めた。
当初の計画は、新会社の取締役会には9人の取締役が就任し、このうち5社はソニーから、残りの3名は独立取締役となり、常務取締役はZEELの取締役となる予定だった。
この計画によればGoenka氏が5年間新会社のCEOとなり、その後株主からの新たな呼びかけに応じることで合意していた。
ソニーの懸念
ソニー側の最大の懸念は、ZEELの現CEOのPunit Goenka氏が資金流用疑惑で規制当局の捜査中の身であることだ。
規制当局がインドだけではなく、グループ全体に影響を与える可能性があり、ここがソニー側がGoenka氏をCEOとして受け入れなかった要因である。
ZEELの懸念
提案されていた新会社の株式保有パターンはソニーが50.86%、Zeeの創業家が3.99%、残りの45.15%がZeeの一般株主となるというものであった。
合併後の会社運営の主要な機能をソニーの管理下に置かれ、取締役会も1名を除いて、ZEEL側のメンバーはいない。
ソニーグループへの影響を考慮し、ロシア事業を閉鎖も求められていた。
つまり、仮にGoenka氏がCEOであったとしても、Goenka氏の意志が完全に通るのは難しい。
ここにさらに、創業家のGoenka氏のCEO並びに取締役会からの締め出しを提案され、ZEEL側がソニーの提案を受け入れられなかった要因である。
今後
合併計画が中止となり、双方で訴訟合戦が予想される。
ZEEL側からは合併交渉前の投資回収のための訴訟、ソニー側からは合併の確定契約破棄による9,000万ドルの破談費用の訴訟が予定されている。
このニュースを受け、ZEELの株価は、昨日22日の祝日から再開した本日、33%の急落をした。
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