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映画感想#1 『ワース 命の値段』

そらにんです、記念すべき第1回目の映画紹介は
2023年2月23日に公開された『ワース 命の値段』
を紹介します!

第1回目なのに地味な映画を選んだなと思われた方もいると思いますが最後まで読んでいただければ幸いです。
この映画確かに地味ですが個人的にはかなりの名作です。

『ワース 命の値段』
〈あらすじと主人公について〉
2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロの被害者を救済するために政府が補償金プログラムを立ち上げました。
その救済プログラムの代表弁護士として補償額や対象などのルールを考案するため、政府に選ばれたのがケン・ファインバーグという弁護士で、この映画の主人公になります。

ケン・ファインバーグを演じたのはトムホランド版スパイダーマン(h-無カミング)で悪役ヴァルチャーやファウンダーという映画でマクドナルドを世界に広めた天才経営者レイ・クロック(主人公)を演じたマイケル・キートンという渋い俳優さんです。

マクドナルドの生みの親であるマクドナルド兄弟からあらゆる手を使って
ブランドを乗っ取り、ファストフード店としてチェーン展開して
大成功を収め、最強のビジネスマンともいわれるレイ・クロックを
演じていたマイケル・キートンは印象深く、実話を基にした
映画の主人公を演じるということで公開前からとても楽しみでした!

〈感想〉ある程度の中身の話はしてます。

ケン・ファインバーグ(以下ケン)は調停裁判を得意とした弁護士で大学の講師も務めながら弁護士事務所の所長として自分の職務に誇りを持ちながら働いていました。

9.11の朝いつものようにケンは電車で出勤していました、すると車内にいた乗客が少しずつコソコソと騒ぎ始めます、ケンが車窓から外を見るとなんとワールドトレードセンタービルから煙を上げているのです。
SNSが発達していない時代ならではの、少しずつ情報が伝播していく描写がとても良かったですね。

事件後、政府が被害者の救済プログラムの計画を立ち上げるとケンは真っ先に手を上げて、自分を代表弁護士にしてくれと名乗り上げました。
まだ事件の全貌も見えていない、被害者もまだ現実を受け止められない時期に被害者補償金というお金の話を持ち込むのは嫌だったようです。

しかし、ケンは臆することなく救済プログラムの制度を整えます。
補償制度の内容、それは被害者全員一律に同額の金額を給付するのではなく、被害者の仕事においての年収・地位や家族構成など様々な被害者情報から被害者が事件に巻き込まれずに老衰で亡くなった場合の生涯年収を計算して補償金を算出していくのが制度の補償金算出概要でした。

つまり、ビルの清掃員や食堂で働いていたウェイターよりもビルで働くビジネスマンや役員の方が受け取れる補償金の額が大きかったのです。
ケンは物語の冒頭、学生に自分の命の値段を問う講義をするシーンがあり、その計算理論を活用したのだと思われます。命の値段は公平じゃないのかという問いに対してそもそも公平というのは存在しないというセリフを言うのですがケンらしいですね。

当然そんな制度では被害者が受け入れられるわけもなく、大反発にあってしまい、救済プログラムが法的にも有効になっても全然被害者は補償金を受け取るための申請をしませんでした。

申請率を上げなければ自分を抜擢してくれた政府から文句を言われるが
上げるためには反対派の意見を聞かなければいけないし、そもそも意見を全部受け入れる時間もお金もないのです。

そんな時にケンをサポートする事務所のメンバーは少しずつ被害者に目を向け始め、ケンも事務所の仲間の協力もあり、ようやく被害者がどれだけ辛い思いをしているのか話を聞いたり、複雑な被害者の過去に触れようとしていきます。そうして、数字ばかり信じていたケンが、人と向き合うことで事件の傷の深さや、人の命の尊さを実感していきます。

ケンの編み出した理論は確かに人の命をお金で換算することかもしれない、
人の心を癒すには、誰かが寄り添ってあげることが必要。
だけど、人はそれだけでは前には進めない、だからお金が必要で、お金を届けることで生活をリスタートさせることが出来るのではないか、絶対どっちかだけでいいわけではなくどちらも必要なんだと思った映画でした。

予算と必要額、政府の政策と被害者の気持ち、自分の理論と人への慈しみ、
様々な狭間で苦悩し、9.11テロの被害者に向き合ったケン・ファインバーグを演じたマイケルキートンがめちゃくちゃいいです!

是非是非、映画館で観てください!





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