見出し画像

【雑文】アートで世界を変えよう

息子の通うアート教室は、通常、年に一度、展覧会をします。

毎年初夏に開催されるのですが、昨年は、諸々の事情により、日程をずらして年末に開催したので、今年は、前回の展覧会から、間が半年足らず、都合、一年に2回開催される感じになりました。
それでも、通常のサイクルに戻すと決断して下さった先生方には、感謝しかありません。

展覧会には、一人当たり3-4点出品します。そのための製作活動は1ヶ月半くらい前からスタートします。
今回の緊急事態では、子供の習い事は休止しなくてよかったので、製作活動は、4月ごろから予定通りスタートしました。
ただ、会場が公共の場所なので、開催できるか危ぶまれておりましたが、本日、開催できると連絡が!やった!

このアート教室は都内数カ所に教室があり、展覧会に出品する子供の数は、おおよそ数百人にのぼります。
会場の設営は、すべて先生たちがやって下さり、生徒と家族は見に行くだけです。

数千もの作品の展示はめっちゃめちゃ「密」ですが、開催期間が数日間あり、ふらりと観に行くだけ。じっくり観て回って、1時間くらいでしょうか。

我が家は、私以外はみんな飽きて早々に会場を出てしまうので、私はいつも黙って、一人で鑑賞します。
息して歩いてるだけ。
今まで、何度も行ってますが、混み合う事もありません。

天井の高い吹き抜けのギャラリースペース。換気はもともといい場所です。一度に沢山の見学客が来る事はまずないので、密でもないし、会話もないし、我が家からは不便な場所だから、車移動。

そう考えると、もともとが新しい生活様式まんまなイベントです。

今思えば、昨年なんで延期になったのか、不思議でしかない。
延期の理由があるとすれば、世の中の雰囲気なのかなと思います。
「なにかを我慢しないといけない」という同調圧力というやつです。

観劇も、今となっては、アート鑑賞とよく似たスタイルです。

天井が高く、換気の行き届いた客席フロア。
着席し、息してるだけの観客。
満席だったとしても、電車なんかに比べたら、密とは言えない。

休憩中の女子トイレはたしかに混み合う事が多いけれど、それも一瞬の事だし、みんなお葬式みたいに黙って並んでる。ちゃんと、びみょーな距離感で。

舞台上の事は、正直わかりません。
でも、カンパニーによっては、週1ペースで検査をやっていると聞きます。
劇場に入る時には、そこまでしてきたマスクを取り替え、靴の底を拭くなど、一般社会なんかよりも、ありえない緊張感で、対策をしているそうです。

観客にクラスターが出たのは、ごく初期の、換気の悪い小さなハコ。
設備の整っている万人レベルの大きなハコのイベントだって、クラスターなんか出ていない。数百人〜数千人規模の劇場だって、ここまで問題なく来ています。

ある演目で、公演期間中にキャストにクラスターが出た公演では、とある一回の座組に出演していたキャストに陽性者が集中していましたが、その回の観客には何事もありませんでした。
その回は、実は私も観劇していましたが、私は幸か不幸か最後列。クラスターのニュースを耳にしても、心配は全くしませんでした。
ちなみに、その劇場はピットもなく、比較的ステージと最前列が近いので、前から2列も空席でした。

観客に感染させない

というコンセプトでなされている対策は、ちゃんと効果を上げているなと、その時実感しました。この事は、私の単なる個人的な経験だけでなく、昨夏に劇場が再開してから、沢山の劇場、沢山のカンパニーが、実証してきています。
個人的にも、日常生活の中で気をつけている事はたくさんあるけれど、自分でコントロールできない場所の中で、客として訪れるのであれば、劇場の感染症対策は信頼できると思っているし、安心感のある場所です。
映画館も同じく、です。

「なにかを我慢しなきゃいけない」

という同調圧力は、時に人を思考停止させます。
その際たる例が、大阪の「土日の公演は中止」という「要請」だと思います。
そう言えば、テーマパークに「無観客なら開園していい」と意味不明な「要請」をしたのも大阪でした。
その時は、テーマパークの広報が「意図を図りかねる」と大真面目にコメントしていて、さすかノリツッコミの本場だけあるなぁと、笑いを通り越して、妙に感心したっけ。

劇場だけでなく、「自粛を要請」される場面と、そうでない場面があります。今更、この問題に科学的根拠なんか求めませんが、もう少しセンスのある「要請」はできないんでしょうか。いっそ、

「楽しんでる奴らが気に入らないから、文化芸術はしばらく禁止」

と潔く言えば、袋叩きになるだろうけど、正直で反論のしようがない。
「気に入らない」と言ってる人に、「気に入ってくれ」と言っても無理な相談だし。
文化芸術に理解のない人をトップに据えちゃったんだから、仕方ないと潔く諦められるかもしれない。

だけど、「意図を図りかねる」ような「しょうもない要請」を無計画に繰り出す事は、日々努力を続けて、それなりに結果もだしている文化芸術の全ての創り手、全ての観客の心を折るということです。こんなやり口は、なんとも筋の悪いやり方だなと思います。

土日の公演自粛を食らったカンパニーの皆様、土日のチケットを持っていた観客の皆様、公演中止もチケット払い戻しも、もう何度目かわからず、慣れっこになっていませんか。

私は、こんな事に慣れる事だけは、絶対にいやだと思っています。
「まあ、このご時世だからしょうがない」と諦めるのはできない。今この瞬間は今しかないのだから。

「また次の機会に楽しめばいいじゃないか」と言う人がいるかもしれないけど、「次の機会がない」という経験を昨年したばかりなのです。少なくとも私は。
だから、敢えて物分かりの悪い人間でいようと思います。

劇場に死角はありません。観客はほぼほぼ安全です。
土日だから、夜だからと言って、その安全性は変わったりしません。

生のエンタメ業界は、おそらく日本で最もシビアな感染症対策をやってる業界のひとつだと思います。手術室並みとは言わないけど、単なるポーズで済ませているそこらの病院なんかよりよっぽどだと思う。
だから、中止の要請にあたり、劇場は感染の危険があるからと言わないで下さい。それを言う事は、関係者にとても失礼だと思います。

人の動きを止めたいのなら、もう今の東京を見る限り、イベントの中止はなんの効果も発揮していない。
恐怖で人を支配できるのは最初だけです。

じゃあ、どうやって人の心を動かすのか。それこそエンタメのお得意分野じゃありませんか!というわけで、エンタメを主催する側の方にもひとつご提案。

もっと、劇場の安全性をコンテンツとして、youtubeなどのSNSでどんどん発信して下さい。
できれば、真面目なやつじゃなくて、エンタメらしい楽しい方法で。
人気俳優さんの個人のチャンネルなども利用して、感染対策を面白おかしいコンテンツとして流したら、多くの人の目に触れると思います。
多くの人に、楽しみながら現実を知ってもらう。
ただ楽しくしたくて、自己満足のためにエンタメやってるわけじゃないのだから、それを劇場以外のチャネルからどんどん発信されたら、いいと思います。

そしたら、劇場に来る観客も安心だし、世の中の「楽しむ事はけしからん」という雰囲気に、一石を投じることになると思います。
劇場文化を後押しする雰囲気で、ネガティブな雰囲気を圧倒してしまえばいいのです。

日常のちょっとした事をドラマチックに描くプロとして、また、工夫しながら日常を取り戻すチャレンジ真っ只中の先駆者として、文化芸術というチャンネルをもっと活用して欲しいと思います。

アートは世界を変えられる

と信じているファンの長〜いつぶやきでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?