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映画館で恐怖体験をした話し

映画が好きです

ここ最近は映画を観るとなれば「シネコン」と呼ばれる施設を目指す事が増えましたが、思えば幼少期に映画といえば、「街の小さな映画館」に行く事が多かった。

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100人も入らないような小さい映画館。

館内に傾斜も無く、席の指定も無く、

席が埋まったら通路に段ボールをしいて座って観ていた。



失われていく昭和の景色。

僕は近所にあった小さな映画館で毎年「ゴジラ」を観ていたし、「ザ ドラえもんズ」が好きでずっと通路に段ボール敷いて座って3回連続でドラえもん映画を鑑賞したりしていた。

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そんなにお小遣い貰ってたとかゆう話では無く、各回の上映が終わる度にお客さんを入れ替えするとかゆう風習が無いので、最初の回のチケットさえあれば本人の根性次第で座り込みを決め込めば同じ映画なら何回も回す事が出来るのだ。

なんでそれがメインのドラえもん映画ではなく同時上映の「ドラえもんズ」だったのかって話だが、当時は本当に好きだったんだろうな。


ドラえもんズ三回回しを終えたら朝に到着した映画館を出たら空が真っ暗になっていたのをはっきり覚えてる。

そして当時は、小学校の校門前でおそらく映画館のおじさんが「ドラえもんやるよぉ〜ドラえもんやるよぉ〜」とか言いながら割引チケットを配っていた。

あの慣習は最近はあるのか? 


今日はそんな話です。


ある日小学校で友人達がワイワイ騒いでいた。
何の騒ぎかと問うと、「ヤバい映画を観た」と。

詳細を聞くと、校門前の怪しいおじさんから貰ったチケットで例の映画館に行ったと。
映画自体はゴジラのバッタモンみたいな特撮スペクタクルだったらしいが、最後まで観ると突然スクリーンに

「魔女が現れる」と。

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なんだと?

青白い顔に長い髪。地を這うような声をした魔女が現れると。

なんなら魔女には仲間もいると。


何それ!めっちゃ怖いじゃん!

僕はギリギリ口裂け女世代でもあった。

好奇心で命を落としがちな小学生であった僕はすぐに友達を誘ってその映画を観に行く事にした。

校門前で血走った目で「チケットあるよお〜…」とロボットのように繰り返すおじさんから勇気を振り絞ってチケットをもぎ取った。


その週末。
友人達と連れ立って街の映画館 今は亡き春日部文化劇場に乗り込んだ。

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いつもは気にならなかったが、この映画館。雰囲気が少し不気味だ。

席につき、ドキドキしながら友人達と開演を待つ。
例の魔女は本当に出るのか…

映画自体は面白かった。

主役が高嶋政宏で、ヒロインが沢口靖子だった。

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舞台は古代日本で、戦士が旅をするアクションファンタジーと言った感じで、「どこがゴジラ映画のバッタモンなんだ」と思っていたが、ふと気を抜いたら、






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巨大ロボットが大地を踏みしめていた。


あれ?古代日本の話だよね?さっきまで剣とか振り回してたよね?


超展開に翻弄されたまま最後は巨大ロボットが巨大モンスターを殺戮してハッピーエンドといった感じだった。

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巨大ロボットの正体は高嶋政宏だった。


気を抜いてた隙に何があったんだ


沢口靖子がビオランテになり、高嶋政宏が巨大ロボットになったあの頃の日本映画界は良かった…

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(ゴジラvsビオランテ でググれ)

そして、エンドロールが始まった。





出た。

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青白い顔に長い髪。地を這うような野太い声をした魔女。

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後ろにも数人の仲間が居た。「The 魔女」といった風情の帽子を被った仲間もいた。

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魔女は不気味なメロディを歌う

「うおーあいにーじょーら…」


背筋が凍りついた。
逃げるように帰り、「噂は本当だ!あの映画館は何かを企んでいる!!」と興奮した。

翌日小学校ではその話題で持ちきりになり、僕達はその日から校門前に立つおじさんを露骨に避けるようになった。


そんな体験から数年経った頃、僕も中学生になり音楽やロックに興味を持つようになった。




クラスの女子は「GLAY」というバンドに夢中になっていた。

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「グロリアス」という爽やかなロックを奏でて三つボタンの黒いスーツに身を包んだスタイリッシュな四人組は瞬く間にクラスの話題となった。


僕も多分に漏れず「バンドってカッコいい!」って勘定が芽生え、ミュージックステーション等の音楽番組を観る年頃になった。お年頃になったのだ。

ある時何かの音楽番組でこんなコーナーがあった。

「GLAYデビュー当時の禁断の映像を公開!」





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全てを察した。



今思い返しても何故こんな事に気がつかなかったのか不思議だが、小学生の僕たちはバンドって概念すら知らないし、男性が化粧するなんて理解できなかった。

「oh I need your love」

今聴いても凄い良い曲なんだけど、当時はスクリーンに映された映像が衝撃過ぎて曲なんて入ってこなかった。

結局その後バンドにハマるのだから、人生ってわからない。

(そもそもMVの映像をエンドロールに使うってのが今は無いからなあ)

ごめんよGLAY ごめんよYOSHIKI ごめんよヤマトタケル

映画は今改めて観たらしっかり面白かった。特撮のレベルがかなり高い。

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あの小さな映画館は今は影も形も無いけど、あそこで得た思い出や景色はずっと心に残り続ける。

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あー怖かった

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