先月東京旅行をした。旅行に行く計画自体は半年以上前からあったのだが、あまり気がのらず、旅行先が東京となってからは増々気がのらず、チケットやホテルの手配も全てひと任せにしていた。

　とはいえ旅行の日は来て、当日まで大まかなスポットしか決まってないし、細かな行程は何も決まっていなかった。空港の出発ロビーで決める予定でいたが、結局羽田空港に着いてもすべて案の段階で、何も決まっていなかった。羽田空港を出る電車に乗ってから、車内で私がその日のスケジュールを提案し、そうすることになった。

　数人で数日の旅をすると、パワーバランスなのか、得意不得意なのか、集団内での立ち位置というのか、最終結論に反映される個々の意見量が決まってくる。旅行は4人で行ったので、①方針を打ちたてる人、②方針に沿って細かな案を挙げる人、③ほとんどは従うがときどきNoを言う人、④細かな案を実務に落とし込み最終決定する人、くらいにわかれた。私は④だった。

　そんな無計画旅行だったが、トラブルもなく、なぜか私たちは大変ついていた。特に、偶々入った食事処が悉く美味しかった上に待たされることもなかったのだ。
　東京で最初に入った定食屋さんは、美味しすぎて短い滞在中に再訪した。ただ近いから入ったお店のランチは、肉がとても美味しかった。ほとんど並ばず入り、私たちが店から出る頃には、順番待ちの列がついていることも２度ほどあった。
　こんなに美味しいアジフライがここで食べられるなんて、と感動しながら、このラッキーは母のご加護なのでは、と思っていた。母がいたら、まずこんな無計画旅行にはならないだろう。①〜④で言えば④ボジをがっちり担ってくれて、私は②や③をふわふわ気楽に出来た。アジフライは母も好きだった。

　６年前はこんな旅をする日が来るとは思わなかった。母が元気だったから。５年前は母の病気が判り、何もかもがそれどころではなかったし、４年前は途方に暮れていた。
　それからもいろいろあって、まぁ何とか、なるようになるだろうという思いでいたが、概ねそのとおりになった。こんな旅が出来る日が来た。これからもきっと、まぁ何とか、やっていきたい。