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孤独と一人

 ひとりでも 孤独になっては くれるなよ


 冬の寒さは、初めての一人暮らしを思い出させる。同時に新潟のシェアハウスの隙間風も思い出す。

 初めてひとり暮らしをしたのは、社会人になってからだった。そこで痛感した。ひとり暮らしが過度に性に合わない。根本的に家の中の仕事、要は家事が一人分のサイクルでしか回らない効率の悪さが気に入らない。ご飯・ひとり分、洗濯・ひとり分。せめてn=2ならば分散されて「やんなきゃ」と腰を上げるし、同居人に「ごめんだけどやってね」と言える。誰かと同居することで自分の「こだわり」が貫き通せないところにもちろんストレスはあるのであるが。

 で、私の同世代の友人たちの話だ。ひとり暮らしを心から楽しんでいる人が多い。自分以外の人間からの干渉を逃れ、謳歌している。

そして一番よく聞く「他人と一緒に住める気がしない」

 彼らが心底羨ましい。なぜか。私は一人になってしまうとついぞ他人と接触できた試しがない。人と約束を取り付けるタイミングがいつも悪い。居住空間に人がいないことには外界とつながることができない。

 だから言いたい。おひとりさま上手なのであれば独身貴族になってほしい。来賓として時々はアルパカワインかポンジュースかなんかの献上品を奉りに行きたい。孤城を守り抜いてほしい。

一方。私のように孤独の才能がある人には、どうか一人になってはくれるなよと伝えたい。


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