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日常は映画より奇なり

「ただいま」

と、家のいまの扉を開けた瞬間に悟ってしまった。家族が険悪に言い争っていることを。

 私が一時は大学を出て独立した後に父が単身赴任してから事は起こり出した、というより母はずっと以前から怒りだしていたかったのであろう、親戚とのもめごとである。

 おそらくピースオブケイクというよりは、発言小町に映えそうな内容である。ほっこり、ほっこり。

 それで今夜だ。とにかくお腹が空いていたのでそそくさ味噌汁を温めなおさせていただきながら、家族があらそうのを聞いていた。

 でも私が、可笑しいけれど「なんかこういう画の、家族がケンカするのは映画みたい」と感じてしまった。

2018年も、2019年もカンヌ国際映画祭のパルムドールは家族の映画だった。

 家族という社会で一番小さな単位の共同体のこと。

もしも私が姉、妹と遺産相続でもって「法廷で会おう」みたいなことが起こっても私はぼんやり「映画だ」と思うのだろう。そういうことが手に取るように想像できた。

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