りっこ

7年間オーストラリア・シドニーで暮らし、2019年に日本へ帰国。旅と音楽から離れられな…

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7年間オーストラリア・シドニーで暮らし、2019年に日本へ帰国。旅と音楽から離れられない。海外生活、旅行先のこと、心が動いた瞬間について更新しています。

マガジン

  • 東京くらし

  • シドニー暮らし、旅ぐらし。

    オーストラリアに来た事がある人、これから来る人、来てみたい人。そんなあなたが、シドニーでの毎日の暮らしを感じられるようなエッセイを集めたマガジンです。熱々のコーヒーでも飲みながら、ごゆっくりどうぞ。

  • オーストラリア大学留学

    オーストラリアのマッコーリー大学に正規留学したときの資料。課題やノウハウなど。

最近の記事

考えすぎて動けなくなったら、一年前の今日を思い出す

情報収集のためにニュースやSNSを追う毎日。東京の未来になるかもしれない環境で耐えている人たちが、必死でよびかける声。自分か自分の愛する人に、近い未来に訪れるかもしれない何通りものシナリオ。 「医療崩壊する前に帰ってきなさい」「絶対田舎の親のところには帰るな」「動けるうちに動け」「動くな、封鎖するぞ」 ふと気がつくと、自分が考えても仕方がないところまで想像力を巡らせて、必要以上にイライラし、不安になる。分かっていても、SNSを繰る手が止まらない。 「考えすぎてるな、頭と

    • 変わらないけど自分にとって大切なもの

      去年の自分と比べて、何ができるようになったのか、これから何を得たいのか。去年想像もできなかったことができているか、来年はどうか。 そういう価値観の中では、去年と変わらないこと、何年も変わらないことは、努力不足で怠惰、コンフォートゾーンから出ず挑戦しなかった、ということになっている。 変わらないことは無価値である、と。 でも本当にそうかしら。 春の陽気に心がふわふわしながら、フルートのレッスンに向かう途中、ふと前にも同じ光景をみたような気がする。 毎日こうだったらいい

      • 春が来ない、と思っていた

        今年の3月、まだ雪が残る北海道で、春がまだ来ないと私は思っていた。 否、「私の春はいつ来るのだ!」と憤っていた笑 オーストラリアから帰国し、函館の実家に少しだけ帰り、これから東京で新生活を送る、という時期だ。 正直、新しい環境への期待より、どうなるのだろう、という不安の方が強くて。 早く暖かい時期になって、私の心も上向きになれ、と切に願っていた。 「自分の感情に蓋をして」「体の感覚を麻痺させて」生きていた、という文章を見るたび、私はたぶん大丈夫、と思っていたけれど、

        • 自分の背中を蹴っ飛ばすための旅

          「正解を選ぶんじゃなく、選んだ道を正解にするんだよ」 旅立つ私に母は言った。 人生で初めて、大きな決断を前に躊躇していた時。 「これがやりたい」と気持ちばかり焦って、でもこれは正解なのかな、後悔しないかな、と不安で、前にも後ろにも進めなくなるような。 あなたにも似たような経験があるかもしれない。 旅は私にとって、そんな決断をする時の、自分の背中を押す最後の手段だ。 それまで得た膨大な情報や価値観をぜんぶ置いて、それでもついてくるもの。 諦めきれない夢、忘れられな

        考えすぎて動けなくなったら、一年前の今日を思い出す

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        記事

          [3月9日 ウルル, オーストラリア] いつでも行けた別世界

          こんなものでしょ、と記号化してるうちに見逃してしまったもの、わかったふりをして気持ちに蓋をしてしまったこと、いくつあっただだろうか。 目の前に広がる雄大な景色を見て、涙が出そうになったのは感動したからだけではなくて。 ウルルなんて、いつでも行ける、と思っていた。 日本人がなんで、そんなにウルルに行きたがるのか、わからなかった。ただの大きな岩でしょ、とさえ思っていた (本当にごめんなさい)。 オーストラリアを離れると決めてから、しばらく来れないなら行きたかったところへ、

          [3月9日 ウルル, オーストラリア] いつでも行けた別世界

          [3月3日]シドニーで最後のサーフィン

          自分が苦手だと思っている事や、好きだとは思っていなかったことが、なにかのきっかけでオセロがひっくりかえるように「好きかも」になる瞬間がたまらない。 泳ぐ事は得意ではないし、渡豪1週間で離岸流に流されたトラウマから、ビーチも水遊びもあまり好きじゃなかった。だから帰国ぎりぎりになるまで、サーフィンに挑戦したいと思ったことは一度もない。 ところが「シドニーにいるのも残り少ないし、オーストラリアっぽいことしとかなきゃ!」と参加したサーフィンレッスンが、思ったよりも楽しくて、週末通

          [3月3日]シドニーで最後のサーフィン

          7歳のエリザベス

          何も気にしないでいられた小さい頃に戻りたいな、と思う事が時々ない? 思った事をすぐ全身で表現して、ずーっと話していても、うんうん、と聞いてくれる相手がいて、興味の対象がコロコロ変わって。 様々な移民がうごめくここシドニーでは、アジア人の子どもはより静かでおとなしくて両親の言うことを「YES」と良く聞いて、西洋人の子どもはもっと活発で、両親の言った事に対して「NO」と言うように育てられる気がする。 私はアジア人にも関わらず、色んな大人に向かってNO!と言い放って、野山をか

          7歳のエリザベス

          夏の足音

          もうすぐそこまで、夏が来ている。週末はビーチでBBQ、仕事終わりのプール、サンタも水着の真夏のクリスマス、そしてニューイヤー。 朝に吹くひんやりとした風が心地いい。今日は暑くなるぞーと思うのは、ひんやりの風が気持ちいい程、既に気温が高いからだ。通勤途中に見上げる空は、青く高く、透き通っている。 サメの目撃ニュースも増えて来た。パース近郊でカヤックに乗っていたティンーンエイジャーがサメに襲われたが、父親が救出して無傷で陸に帰って来た。翌日の朝ニュースの見出しは「ティーンエイ

          夏の足音

          ちらしずしと焼鴨湯麺

          新しい服を買えば次の日に来たくなるし、新しい本を買ったら帰りの電車で読み始める。何か新しいものを手に入れたら、すぐに身に付けたいし使ってみたい。それはたとえ言語であっても同じことで、1年前に広東語を習い始めてから使いたくてウズウズしていた。 先日、会社の近くの中華料理屋でついにその時はきた。前々から、カウンターの奥で働く人が広東語を話しているのは知っていて、いつもそこで頼むスープヌードルが「焼鴨湯麺 (しうあっぷとんみん)」だと言う事も、広東語の先生に習っていた。 自

          ちらしずしと焼鴨湯麺

          スクランブル交差点

          ある晴れた春の朝、まだ肌寒くてコートと手袋を着て家を出た。しかし最寄りの駅まできてみると、見かける人の中には、Tシャツ短パンの人もいる。なんならノースリーブにビーサンの人もいる(平日です)。 韓国人が経営するお洒落なカフェに入ると、私が韓国人に見えたのかアニョハセヨと挨拶され、隣に座った白人の女性から「わたし日本語の勉強しているんだけど、もしかして日本人ですか?」と突然声をかけられる。ちなみにこの時私は、別サイドの隣から聞こえてくる広東語をどれくらい理解できるか聞き耳を立て

          スクランブル交差点

          あの機体の色は

          毎朝通勤の電車から外を見ていると、シドニーキングススミス空港におりてくる旅客機が遠くに、私の電車と同じ進行方向に向かって行くのかみえる。 この時間で緑の機体は、香港から来たキャセイかな?あ、あの赤いのは成田から来たJALかもしれない。 みんな、どんな気持ちで来たのだろう?旅行で来たのかな?留学で来たのかな?それとも旅行から帰ってきたのかな? 初めてオーストラリアの地を踏んで、空港から出てきた時のことを思い出すと、今でも胸の中が、ここらしい乾いた、それでいて開放的な空気で

          あの機体の色は

          紫の花のお告げ

          シドニーの春は雨が多い季節だ。 あ、もうすぐ夏が来るんだなと思えば寒くてしとしとする日が続き、冬に逆戻りかなと思うと、いきなり30度を超す夏日だったりする。 そんな日が続いたあと、ふと気がつくと街中が紫の花でいっぱいになっている事に気がつく。ジャカランタの花。この花がそこら中で満開になる頃には、気温がだいぶ上がって毎日晴れの日が続くようになっている。 シドニーに来た最初の年は、春に薄紅色の木が一本も見れないなんてなんて風情に欠けるのだろう、と思ったものだが、今ではジャカ

          紫の花のお告げ

          次に「你好!」と言えるのは

          私たちは中学生か、と自分に突っ込んでいた。 4人のいいオトナが、まるで先生に直談判にきた中学生のように、受付の何の権限も持っていなさそうなお兄さんに詰め寄っている。 「というわけだから、次のレベルを開講してください」「私たち4人全員参加しますから」「前みたいに3週間も4週間も待たせないでね。メール何度送っても返事返ってこないし」「なんならみんなで署名していくわよ」「ルーシー先生は来週からでも良いって言ってるから」 ちなみにルーシーとは、私たちの愛すべき広東語の先生である

          次に「你好!」と言えるのは

          天才なのでは?

          灯台もと暮らしの編集長、伊佐さんが香港に旅立ってから「香港行きたい欲」が自分史上最大に盛り上がりを見せている。 その盛り上がる事、火の如し。いつ香港にいけそうか有給を計算し、航空券のサイトと日々にらめっこをしている。 前回、春節の時期に妹と香港に行ったときの事を思い出し、妹がフィルムカメラで撮った写真を見てはうっとり。 街中に溢れる紅い提灯、色とりどりの看板、シドニーとは比べものにならないくらいの人・人・人、そして、それを全部見下ろす大嶼山の大仏様。 しかし彼女が取っ

          天才なのでは?

          大変だけど楽しい時間

          3位、れいこ!と呼ばれた時、思わずそれらしき人物が周りにいないか見回してしまった。ちなみに私の名前はりえこである。IとEの順番が入れ替わって「れいこ」と間違われる事も多々あるが、もしかしたら「れいこ」と良く似た発音の名前の全くの別人かもしれない... しかし審査員2人は明らかに私を見ている。私?と指さしてみたら、大きく頷かれたので、どうやら私が3位らしい。たぶん豆鉄砲を喰らった鳩のような顔をしていたと思う。念のため、私の名前はりえこである。 先週の土曜日が試験でものす

          大変だけど楽しい時間

          女子ってヤツは

          だまされないぞ!と心の中で、叫ぶ。 アロマにキャンドルにハーブティーにヨガ?だまされないぞ。 この間帰国したときに買った北海道のラベンダーのアロマを焚いて、韓国の柚子茶を入れて。今日考えたことを、誰にも見せない秘密の日記に書いて、カモミールの模様のロウソクを点す。最後は存分にストレッチをしてからベッドに潜り込む... 毎日やってみると、どうってことない行為なのに、文字にして読んでみると堪らない。どうして想像しただけで、うっとりしてしまうんだろう。ゆらゆら揺れるロウソクの

          女子ってヤツは