僕らは歌い続ける、僕らの歌をーわたしたちはわたしたちのエース上沢直之を応援し続けるー


仕事を終えて、明後日からの名古屋遠征のためのお買い物に出かけた。靴とリュックとスカートが欲しかった。なかなか見つからずうろうろした後、大通駅のヒロシの前で腰掛け、スマホを開いてみる。

上沢直之 診断結果ー左膝蓋骨骨折ーファイターズ からのお知らせがあった。

18m向こう側から飛んできた、直径10㎝にも満たない丸いボールが、直径10㎝もないだろう左足の膝のお皿に直撃する確率って、どれくらいなんだろう。

打たれた瞬間の角度が1ミリでもズレてれば、到達するときには大きくずれてるんだから、きっとぶつからない。踏み出した足の向きがちょっと違ってたってぶつからない。札幌ドームのマウンドだったら、高さが違うからぶつかってない。事故の起きなかった世界は、限りなく広いのに。

現実は、限りなく低い確率で、わたしたちの大事なエースの膝を壊した。

多くの人が行き交うポールタウンからオーロラタウンに向かおうとして、歩き出したら涙が出てきた。まったくもうおばちゃんだからさ。すぐ涙が出ちゃうんだよ。

本人の気持ちや、家族の気持ちや、うわっちが大好きだろうファンの人のことや、栗山監督や、昨日、マウンドにうわっちが倒れたとき、一目散に駆け寄って膝を抑えた近藤くんのことや。次から次へと思い浮かんでさ。こんな往来で泣いていたら本当に変なおばさんだからぐっと堪えつつ。買い物を続けた。

自転車で家に戻ろうと、外に出たらにわか雨が降っていた。狸小路を抜けるともう止んでいて、走り出した。円山公園を抜ける。雨上がりに夏の日差しがかかり、緑が輝いている。眩しいくらいに、美しい。

世界は、こんなに美しいのに。

なんでうわっちは、あんな目にあうんだろうか?いや、それとも誰がどんな目にあったとしても、世界は美しいだけなのか。そんなことを考えたって考えなくたって現実には、何も関係ないわけだけど。

それでも毎日は続く。わたしたちは日々を暮らし、ファイターズ は闘いを続ける。上沢が、いなくなったからファイターズ は勝てない。なんて絶対言わせないよな。逆だよな。

開幕から昨日まで、チームを引っ張ってきてくれたのは、間違いなく上沢直之だ。打たれても失点しても調子が良くなくても、決してへこたれず諦めず、登板試合は常に粘り強く投げ続けた。その気迫と気持ちが仲間に伝わり、逆転ゲームを続けてきた。

日頃、ファイターズ のことなんかほとんど関心もない江本孟紀さんが、たまたま解説したんだろう交流戦の試合を見て「ファイターズ は、一つになっている」と褒めてくれていた。その真ん中に笑顔で輝いていたのが、うわっちだよ。

ならば、その真価を表すのは、これからだ。

ファイターズ はファイターズ の野球をするんだ。

わたしたちはわたしたちの応援をするんだ。

わたしたちのエースのために、できることは、きっとそれだけ。


ほんとに試練ばっかり与える神様って何考えてるんでしょうね。栗山監督。







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