通勤経路の車窓から視界に入っていたピンク色は、いつの間にか散ったのか新緑に変化していた。

それでも大丈夫。

蕾でスタンバイしていた八重桜が、バトンを渡されたように、もっと濃ゆく鮮やかに開花していくから。

数日前、久しぶりに歩いた。
小路をてくてくと。

やはり見かけるのは八重桜が多い。
わさわさの花びら。

あまり見かけたことのない、しだれ桜を見つけて感動。
その佇まい。
しばし目を奪われて、真下に入って空を見上げてみたり、遠く離れてしなる枝の様子を眺めたりした。

そして。

忘れてはいけない、我が家の裏にある一本の桜。

大きな建物の間にあって、気温や風あたりなどが他とは違うのだろう。

さらにさらに、のんびり屋の遅咲きさん。
どんなに桜前線があわただしく行き過ぎようとも、素知らぬ顔でマイペース。
わたしは五月半ばに咲くの。と決めているかのように。

ここへ居を構えてから、かれこれ20年近くのお付き合い。

娘が自立したらダウンサイジングのため転居も考えていた昨年。
この桜を見るのも最後かもと思って眺めていた。

ダウンどころか次々と戻ってきては、逆に手狭になるほど増えていく娘たちの荷物と、ウイルス禍の中であっという間に一年は過ぎて、今年も変わらずここで出会う。

ここだけは、どんなに忙しくてもカーテンを開けさえすれば、彩りの変化で見逃すことのない絶好の花見場所。

この時期は、朝、カーテンを開けるのが楽しみ。

そして、今朝の窓辺からの眺め。

この、上から見下ろす角度がお気に入り。
今年も遅ればせながら、満開。
今日をお祝いしているように、満開🌸