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『夏の匂いと細い月』

窓から吹き込む夜風が
夏の匂いになっている

夜の気配を纏う静けさの中
西日の熱をふくんだままで
鼻腔をくすぐってゆくから
深く吸い込んでみたりして
うつろう季節を味わう

窓辺に座ってプルタブを開け
グラスにビールを注ぐ
白い泡が 絶妙に立ち上がり
ジジジジとアナログラジオのノイズのような
小さな音を立てて 風に紛れていく

その溶け込んだ粒子を
また深く大きく吸い込む

1ミリだけ伸びた爪みたいな
細い細い月が浮いていて
わたしを喜ばせる

三日月や
それより細い月に惹かれてしまうのは
幼い頃から変わらない

細い月とアークトゥルスのツーショットを
最初に見たのはいつだったろう
思い出すのは小学生のわたし
三日月と一等星が寄り添う夜空に魅せられて
飽きもせず首が痛くなるほど見上げていた夜

今宵は細い月しか見えないけれど
それをつまみに
ひとくち
こくりと
喉を潤す

今日の疲れを泡へと溶かし
明日の気力へと繋げつつ


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❀ ❀ ❀

ここでは夏の花である紫陽花が
あちらこちらで目につく季節になりました。
今週は北の街も気温が上がるようです。

我が家は南西向きで、窓から入る日差しがあまりに強いので
暑くなる日は一日中カーテンを引いています。
それでも帰宅すると西日の熱が室内に残っていて
暑さに弱い私には辛い時期になります。
ビールが美味しい季節と切り換えて 乗り越えましょうかね(笑)

夏の夜風の匂いの中で、ビールを注いだあと耳を澄まして、白い泡の音を聴く瞬間がお気に入りです。
以前、意味が分からないと言われたことがあるので、そのあと人には言わないようにしていますが…。

夕風が心地いいです。
週明け月曜日。
今週も一日一日、丁寧に時間を刻みましょ😊

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