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ライフと魂

今週読んだ二冊。

かたや、悲喜交々のおじさん讃歌。
かたや、おじさん達が絶滅する話。

…なのだけれど、
どちらも、とてもよかった。


息子の成長譚と英国生活を活写した前作「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」がとてもよかったブレイディみかこ。この人のロケンロー文体は同世代感に溢れていて大好きだ。新刊は、配偶者やその周りのおっさんな友人たちについて書く。ブレグジットをめぐるリアルな世相を背景に、ちょっと昔のロック流れるいきいきした文体で、かつてのヤンチャな若者が迎えた六十代をサバサバと、ときには少しの切なさを交えて描ききっている。まさにライフゴーズオン!一気呵成に読んだ。巻末の、世代や階級についての解説も興味深い。


いつも気になる作家松田青子の新刊。とても読みやすい、けれど書かれることはとても鋭い。途中リアルすぎて辛くなったり、浮かぶ顔が多すぎてそうなんだよなチッ!と舌打ちしたくなったり、リベンジの鮮やかさに快哉を叫んだり…めちゃくちゃ私事として読んだフィクション。そうか、そうだったのか、そう来たか!「魂は永遠にチャージされているものじゃない」…めちゃくちゃ芯が強くてかっこいい女性たちの姿に痺れるし、撃ち抜かれる。
カバーと本体もすごく印象的で、装丁誰⁈と調べたら田中久子と。三浦しをん「愛なき世界」などを手掛けた人とのこと。他の作品も探してみよう。


「ワイルドサイドをほっつき歩け」
ブレイディみかこ、筑摩書房
(こちらの岩瀬聡による装丁もいい!)
ドクマーティンの8ホールを買うことにする。

「持続可能な魂の利用」
松田青子、中央公論新社
ピンクのスタンガン私も欲しい。


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